「ウェブCMへの苦情」急増を招いた制作側の背景 悪質業者と考査のイタチごっこに

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動画サイトの普及にともない増えてきたウェブCMですが、苦情も増えているといいます(写真:Haru photography/PIXTA)

ウェブCMは秒数の縛りがなく、より自由なクリエイティブを発揮できるというメリットがある反面、事前考査がないことによるさまざまなリスクもはらんでいる。ウェブCM関連の「苦情」は今どのような状況なのか、JAROの川名事務局長に話を聞いた。

2019年下半期から急増したウェブCMに対する苦情

──最初に、JAROとしてウェブCMをどのように位置づけているのでしょう。

『GALAC』2023年12月号の特集は「ウェブCMの現在 ケーブルテレビ新ビジョン」。本記事は同特集からの転載です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

大きくは二つ、一つはネットにおける広告枠上にある動画広告です。ユーチューブのようなサイトの中で流れる動画広告はもちろん、それまでは静止画だったものが、利用者が開いた瞬間に動画が流れるといったようなものも含みます。もう一つはオウンドメディア上の動画です。

前者は、2022年の媒体費が5920億円(※電通「日本の広告費」インターネット広告媒体費詳細分析)に上っていまして、その主な目的は実際の商品購入や資料請求といった顧客の「獲得(コンバージョン)」、その一つ前の段階として、顧客と広告主を結びつける「送客」で、ブランディング目的のものも一部ありますが、数は少ないです。

そして後者はオウンドメディア、企業のホームページやSNSアカウントで尺にとらわれずにさまざまな動画を配信するもので、これは逆にブランディングが主な目的で、結果的に良質なコンテンツが多いです。自社メディアで流すわけですから、制作費のみで媒体費は基本的にかかりません。

JAROは「広告(表現)の苦情」をお寄せくださいとしているわけですが、テレビCMにしてもウェブCMにしても、素晴らしいクリエイティブのものに対しては苦情があまり来ませんし、特に若い人たちはそもそも広告という感覚で見ていないのかもしれません。ですから、寄せられる苦情の対象のほとんどは前者の「広告枠にある動画広告」です。

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