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「ウェブCMへの苦情」急増を招いた制作側の背景 悪質業者と考査のイタチごっこに

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  • 川名 周 日本広告審査機構(JARO)事務局長
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──ギャラクシー賞はウェブCMを審査対象に加えましたが、テレビCMやラジオCMとの共通点、あるいは違いについて、さらに認識しておく必要があるのはどういうところでしょうか。

端的に違うのは「尺」です。例えばテレビCMは15秒、30秒、60秒と決まった尺がありますが、ウェブCMの枠には決まった尺というものがありません。それは制約がない、ということです。

例えば「36秒ならすごくいいCMができるんじゃないか」とか、クリエイターたちはいろいろ新しいことを考えているんですが、制約がないがゆえに、これまでのテレビCMにはなかったような表現が可能になるという面はあると思いますし、実際に素晴らしいものも生まれています。ただ逆に、制約があるほうがいいものができるという面もあるかもしれませんが。

ネットの自由空間でも一定の倫理意識は必要

そして、見るほうの姿勢も違います。同じ動画でも、PCだと前のめりで見るような感じになりますが、スマホは手のひらで見る感じですよね。つまり、使うデバイスによって、見る姿勢そのものが違ってくるので、本来であれば、それぞれの特性に合ったクリエイティブが必要なのかもしれません。

私自身、06年からデジタルの領域で仕事をしてきましたが、その当時はウェブ制作にしても新しいコミュニケーションツールを開拓できると、楽しくてしかたなかった記憶があります。

ウェブCMについても、BMWの“The Hire”が先鞭をつけて以来、世界中の優秀なクリエイターたちがどんどん参入してきて、ネットのなかで良い広告を作ろう、新しいクリエイティブをみなで競おうみたいな流れだったものが、約20年経ってみたら、それこそウザいものばかり……みたいな状況になってしまっているとするなら、非常に残念なことです。

ネットの制約のなさ、自由さのなかにあっても、やはりある程度の倫理意識をもって、気持ち悪いものは流さない、その程度の配慮は当たり前といいますか、ネット広告全体も成熟していかないといけないと思っています。

10年後のウェブCM、ネット広告のあり方を考えてみると、デジタル化がもっと進んで、テレビ発、ウェブ発という差はどんどんなくなっていくでしょう。ただ、最初に申し上げた「広告枠上にある動画広告」と、「オウンドメディア上にある動画広告」のように、その目的の違いという戦略的な棲み分けは残っていくと思います。

インタビュー/国枝智樹 構成/GALAC編集部

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