「ウェブCMへの苦情」急増を招いた制作側の背景 悪質業者と考査のイタチごっこに

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ネットでは考査が事後に

──マス媒体は事前考査によってさまざまなチェックをしたうえでCMを放送するシステムができあがっていますが、ネットの場合は今、どういう状況なのでしょうか。

まず広告を出稿する条件として、マス4媒体は事前に業態調査をするのが慣例ですが、ネットの場合は(取引用の)クレジットカードさえあれば出稿できてしまうんです。考査については専門の部署による事前考査が前提のマスに対し、ネットは現状、基本的には事後になりがちです。

ロボットや人力による事前考査も実施していますが、無数あるネット広告すべてに対応することは不可能です。また、事前チェック後その日の夜中に法律違反のあくどいクリエイティブにすり替えるといった悪質事業者さえいるようです。まさに「イタチごっこ」という有り様です。

テレビCMにおけるKPI(重要業績評価指標)は、認知度に加えてイメージなので、CMを打った後にイメージがどれくらい上がったかというのがKPIになるわけですが、ウェブのKPIは何人が見て、次のステップにそのうちの何人が行ったかということになるので、イメージが良い広告と言うよりも、クリックされやすい広告が生き残り、大量に露出されるという面があって、そういう小賢しいものが残ってしまっているんですね。実はテレビCMとウェブCMはKPIの面でかなり大きな違いがあるということは認識しておく必要があります。

2022年度JAROプレスリリースより
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事