国連が決定!「管理職の5割を女性化」の衝撃 「2020年までに女性3割」では遅い?

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目黒先生は日本における家族社会学の第一人者。最近は、ジェンダー問題の分析を手掛ける株式会社ソフィア研究所を設立し、こうした課題に取り組む行政機関や企業に対し、コンサルティングや研修を行っている。

国連が決めた「50/50」の真相

――「2030年までに指導的な立場の半分を女性にする」というのは、日本の現状を考えると、かなりチャレンジングな目標です。これは、どこから出てきたのですか。

国連にはUNWomen(国連女性機関)という組織があります。世界各国にこれを支援するNGOがあり、日本では「国連ウィメン日本協会」が活動しています。設立されてもう20年になります。

この国連女性機関が「Planet 50-50 by 30」というキャンペーンを行っています。Planetは直訳すると衛星ですが、要するに「地球上で影響力を持つ者の男女割合を、2030年までに50/50にする」という意味です。

今年3月上旬にニューヨークで開かれた、国連婦人の地位委員会に、私も参加してきました。そこでこのスローガン「Planet 50-50 by 30」が紹介され、国連事務総長もこれに言及し、各国政府や市民社会に目標達成のために努力するよう、呼びかけていました。

――そもそも、なぜ、今、「50/50」なのでしょうか。

目黒依子(めぐろ・よりこ)
株式会社ソフィア研究所代表取締役。上智大学名誉教授。東京大学大学院社会学研究科修了(修士)、ケイス・ウエスタン・リザーヴ大学大学院社会学博士。専門は社会学。社会資本とライフコース分析による開発、ジェンダー領域の国際比較研究著作多数。1994年、1995年国連総会日本政府代表代理、1998年から2010年国連婦人の地位委員会日本代表。

話は20年前にさかのぼります。1995年に北京で第4回世界女性会議(通称:北京会議)が開催されました。ここに過去最大の190カ国から3万人が集まり、日本からも約6000人が参加しています。この会議は日本の女性政策にも大きな影響を与え、男女共同参画基本法が作られるなど、一定の成果はありました。

しかし、北京会議から20年経った2015年現在、世界の状況は男女平等とはほど遠い。そこで、国連女性機関では、ジェンダーギャップを削減するために、各国政府の公約を収集し、男女平等に向けた取り組みをいっそう推進しようとしています。

――日本で働いていると「男女差がない社会」をイメージしにくいのですが、これが、国際社会の常識なのでしょうか。

少なくとも、国連会議に出席する政府代表は「男女平等を目指すのが世界の常識」ということを、肌で感じていると思います。

たとえば、今年の国連婦人の地位委員会では、初日(3月9日)に「政治宣言」を採択しました。採択された文書には「2030年までにジェンダー平等を完全に実現することを求める」と書かれています。

長年、国連会議に出席し、日本政府を代表して交渉してきた経験から説明しますと、会議の初日に採択される文書というのは、事前に政府間で調整・合意ができているのです。つまり、日本政府も、これに同意しない、というのは国際社会の一員としてはありえない、とわかっているのです。

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