年々増える「古民家カフェ」が失敗しやすい2つの訳 歴史の遺産にあぐらをかいてはいけない

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ここでのポイントは、この古民家が建築物としては集客力があるものではなかったが、カフェという形態になったことで集客力を持ったことである。理論的に分析するならば、歴史がもつ差別化の力を活用した事例といえる。つまり、カフェの差別化方法として古民家を活用したわけだ。

それならば成功事例となりそうだが、話の続きを見るとそうはなっていないことがわかる。失敗の大きな原因として記載されているのは、だんだんと客足が遠のいていったことと、隣町に新しい古民家カフェができたという話だ。

希少価値を失って「コモディティ化」する

ここで重要なのは、カフェという形態である。相当な文化財である場合を除き、古民家カフェに訪れる人は必ずしも歴史が目的ではない。古民家という歴史的価値は、数ある構成要素の1つにすぎない。

このように考えると、先の古民家カフェの経営が上手くいかなくなった理由の一番目がわかる。古民家は差別化要因として機能していたのだが、カフェ自体の魅力がなかった。

そして、第二の理由は勘の良い方なら気づいただろう。そう、コモディティ化である。

先の記述を見ると、古民家カフェは年々増加しているとされている。結果として隣町も同じようなことを考えて、古民家カフェをオープンさせている。周囲がほとんどやっていなかった状況で実施した場合には、VRIO理論でいう希少性を持つので差別化として大きく機能するが、周囲にどんどん開業してしまうと、古民家という希少性を失ったというわけだ。

実際に、現在では古民家カフェの数は増え続けた結果、差別化が難しい状況になってきている。これは古民家に限った話ではない。単に文化財を活用しただけでは、周囲に数が少ないときはよくても、同じような事例が出てくればコモディティ化していく。

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