年々増える「古民家カフェ」が失敗しやすい2つの訳 歴史の遺産にあぐらをかいてはいけない

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改めてまとめてみよう。Cさんの古民家カフェは2つの理由で当初の競争力を失い、失敗してしまった。

1点目は古民家の活用だけを考えてしまったことでカフェそのものとしての魅力に乏しく、歴史文化の力で引き寄せたお客に満足な経験価値を提供できなかったこと。

2点目は、周囲の古民家カフェ開業によって希少性を失ってしまい、その先にあるコモディティ化に対応できていないことである。

さまざまな方法があり、これをやれば成功するというものはないだろう。だが、古民家や文化財といったヒストリカル・ブランディングによるものであれば、カフェとしての魅力を高める以外にも、一般店舗ではできない脱コモディティができる。それは、建築物の魅力を活用した経験価値の創造だ。

そのためには、古民家の歴史を徹底的に調査し、この地域においてどんな役割や価値を持ったものなのかを明らかにしていく歴史調査作業が必要だろう。

過去の遺産を基に魅力を磨き続けることが重要

調査のなかで見つかった、その古民家ならではのストーリーを活用しながら、商品開発やサービスを設計するのだ。

『ヒストリカル・ブランディング 脱コモディティ化の地域ブランド論』(角川新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そうすれば、観光目的でやってきた人ならば、そのカフェに立ち寄ること自体が地域の魅力を体感できることとなり、観光地とカフェ両方の魅力を増すことができる。

歯に衣着せぬ言い方をするならば、歴史にあぐらをかいてはいけない、ということにつきる。歴史文化がない地域のほうが依存できないために、どのようにすれば顧客経験を作れるか必死になって考えており、結果として歴史文化が残っていた地域よりも魅力的になっていくことも多い。

過去の遺産を食いつぶしていくのではなく、過去の遺産を基にしてさらに魅力を磨き続ける姿勢が重要だ。そのためには、ハードとソフトの両面で総合的な経験価値を創出していく必要がある。

久保 健治 ヒストリーデザイン代表

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くぼ けんじ / Kenji Kubo

1981年、東京都中野区生まれ。武蔵野大学神田外語大学兼任講師。NPO法人全日本ディベート連盟専務理事。データストラテジー株式会社研究員。創価大学大学院文学研究科人文学専攻博士後期課程単位取得満期退学。修士(歴史学)。近代日本史料研究会、藤沢市史の史料編纂に従事した後、東京工業大学特任講師、ソーシャルメディアマーケティング会社を経て株式会社ヒストリーデザインを設立。専門は地域マーケティング論、経営戦略論、地域資源論。経営学者兼コンサルタントとして、観光分野を中心に歴史を活用した経営戦略の理論研究とビジネス実践を行っている。

 

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