採用で「スキルより価値観」を重視すべき納得理由 「経営を教える会社」がこだわっている採用基準

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価値観によるマネジメントとは、To Do(やるべき事項)やタスクを管理するのではなく、組織として大事にしたい価値観を全メンバーが体現できているかどうかを管理するマネジメント手法のことです。そうすることで、受け身型の指示待ち社員ではなく、自律型社員を育成することが狙いです。

そして入社後にすべてManagement by valueで向き合うからには、入社時点でValue(価値観)の共有度合いが極めて高いレベルにあることが非常に重要になるのです。

人間、能力は鍛えれば鍛える程高まっていくものなので、能力については多少不足していることがあったとしても、入社後の努力でいくらでもキャッチアップできますし、その後も能力は伸ばし続けることが可能です。一方の価値観については、変えることが難しい性質のものですし、仮に変えることができたとしても、そもそも変えるべきものかと言われると必ずしもそうとも言い切れないものでもあると思います(価値観を変えることが、その人にとって本当に望ましいことかわからないためです)。

この「Valueの共有」を原則とする採用ポリシーを踏まえて、グロービスの採用では保有スキル以上に、その方の価値観や性格に迫るような質問を重ねることでその方の内面を掘り下げさせていただくようにしています。それ故に、よく候補者からは「グロービスの面接では、他社では訊かれないようなことを沢山訊かれた」という声をもらいます。他にも、「面接というよりはカウンセリングとかコーチングを受けているかのようだった」等という声もよく聞きます。

「異質の効用」の追求

この「Valueの共有」の原則ばかりを追いかけていたら、金太郎飴のように同質性の高い同じような人ばかりの集団になってしまうのではないか、という点が気になるのではないでしょうか。昨今は、多様性(ダイバーシティー)の重要性が叫ばれるようになって久しいので、その疑問が生まれてくるのはもっともです。組織は、同質性の塊になってしまうと、凝集性は高まるかもしれませんが、どうしても同じような物の見方をしてしまうので、新しい発想や切り口で考えられる人が出にくくなります。すると、結果として、その組織は環境変化に耐えられなくなってしまいがちです。

そこで、グロービスでは「Valueの共有」の原則と並んでもう1つ大事にしていることがあります。それが「異質の効用」の追求です。「異質の効用」を追求するというのはどういうことかというと、これまでの経験(バックグラウンド)や保有している能力、それから物事を見る視点については、既存のメンバーとは異なるものを持っている人を採用しようということです。

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