公開24時間で1万超再生「ナウシカ実写版」の裏側 ブラジル人監督が語ったジブリ作品への「情熱」

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「日本風な生活スタイルのほうが落ち着くんです」と、映画監督・脚本家のクリス・テックスさん(34)。筆者が取材をした5日前に『Wind Princess』を出展したスペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭から帰国した。

「今年7月には、カナダのファンタジア国際映画祭にも出展して、どちらの映画祭でも高い評価をいただきました。原作の『ナウシカ』は、ブラジルよりカナダやスペインのほうが知られているようですね」

ファンタジア国際映画祭(カナダ)に参加したテック氏と制作スタッフ(©Jessica freytag)

ブラジルで1990年代半ばから放送され始めた日本の特撮やアニメは、多くの子どもを魅了した。テックス氏もまた、そんな少年の1人だった。

しかし、2003年にブラジルで劇場公開された『千と千尋の神隠し』から受けた衝撃は桁違いだったという。当時、彼は14歳。それ以来、宮崎駿の世界観を求めて、友人から教わった東洋人街のDVD店に通い、ジブリ作品を次々に鑑賞した(当時は海賊版DVDでしか入手できなかった)。

そして出会ったのが『ナウシカ』だった。SFファンタジーによって描かれた自然と人間社会との複雑な関係性は、宮崎監督からのメッセージとしてテックス氏の心に響いた。

宮崎アニメに惹かれたのと同時に興味を持ち始めたのが映像制作だった。
10代後半にハンディカムで撮影する楽しみを覚え、奨学金を得て市内の有名美術大学の映画学部に進学。そこで知り合った仲間は、のちに『Wind Princess』を自主制作するうえで不可欠な存在となった。

夢の実現のためにまずは動こう!

「大学の仲間といつも語っていたのは、“自分たちでSF映画を作る”という夢でした」と、学生時代を振り返る。

『ナウシカ』の実写版制作に思い至ったのは、卒業後しばらくしてからだ。テレビ局の子ども向けドラマを制作していたときに、かつての夢を思い出した。

サンパウロ近郊オザスコ市の自宅にてテック氏(写真:筆者撮影)
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