公開24時間で1万超再生「ナウシカ実写版」の裏側 ブラジル人監督が語ったジブリ作品への「情熱」

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本作品、スタジオジブリはどう見ているのか。

実は、テックス氏が『Wind Princess』公開の承諾を得るため、スタジオジブリとの連絡を試みたのは、パンデミック直前の2019年のこと。インターネットで知り合った日本人大学生の仲介で接触した。

結局、熱望していた宮崎監督との会談はかなわなかったが、その大学生を介して電話でスタジオジブリ担当者と話をすることができた。

当然のこととして担当者からは『Wind Princess』にジブリの商標は与えられないことを伝えられた。そのうえで、作品の原案がテックス氏に帰属しないことを明らかにし、原作『ナウシカ』のイメージを損なわず、営利を目的としない限りにおいては作品を制作して構わないとの返事をもらった。

「とてもうれしいお返事でした。そもそもファンフィルムとして作りたかった私の意図に合致する回答でしたから。非営利のオマージュ作品がダメだと言われたら、今までの制作が水の泡でしたからね」と、何よりホッとした当時を振り返った。

テックス氏はスタジオジブリから伝えられたことを尊重し、作品の冒頭39秒で非営利のファンフィルムであることを表示したうえで、宮崎監督へ向けたメッセージをつづっている。

テックス氏のナウシカ続編への思い

「『Wind Princess』を日本の皆さんがどう感じるか、とてもドキドキしています。公開はブラジル時間で10月25日の夜9時を予定していますが、その時間だと日本は26日の朝9時ですよね? 日本の皆さんに見ていただくにはもう1時間遅らせたほうがいいでしょうか?」と、公開を間近に控えてテックス氏は落ち着かない様子だった。

「『Wind Princess』がスタジオジブリから認められて、『ナウシカ』続編の制作に携わることができたら、これほどうれしいことはありません。ちょっと夢を見すぎでしょうか?」と、テックスさんは興奮冷めやらぬ様子で語った。

腐海に残された王蟲の抜け殻。『Wind Princess』より(©Chris Tex)
『Wind Princess』は以下からご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=LC4rfauJKPc
仁尾 帯刀(海外書き人クラブ) ブラジル・サンパウロ市在住フォトグラファー

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にお たてわき / Tatewaki Nio

ブラジル在住25年。写真作品の発表を主な活動としながら、日本メディアの撮影・執筆を行う。主な掲載媒体は「Pen」(CCCメディアハウス)、「美術手帖」(美術出版社)、「JCB The Premium」(JTBパブリッシング)など。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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