映画「バービー」延焼を加速させた米国本社の悪手 原爆コラめぐり炎上、不誠実対応で不鑑賞運動も

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アメリカの『バービー』公式ツイッター(現在はX)が、いま問題視されている(公式サイトより)
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バービー人形をもとにした実写映画『バービー(Barbie)』のアメリカ版公式SNSアカウントが、原子爆弾(原爆)に好意的と受け止められかねない投稿を行い、日本国内から非難の声が相次いでいる。

国内の反応を受けて、すぐさま日本法人が謝罪。この対応は比較的まっとうなものだったものの、その後、アメリカ本社の謝罪は優れているとは言えないものだった。結果不買運動ならぬ「不観賞運動」は止まらない。

ネットメディア編集者として、10年以上にわたって、SNSでの「炎上」や「延焼」を見てきた経験からすると、今回の事案は「欧米人の原爆軽視」に加えて、「日本の炎上メカニズム」を本社が理解していなかったことが原因だとみている。

そこで本稿では、今回の騒動を時系列に沿って説明しつつ、解説していきたい。

問題となった投稿は削除されたが…

まずは、今回の騒動について、振り返ってみよう。

『バービー』はアメリカ国内で、2023年7月21日から公開されている。同作品は、同じく7月21日に封切られた原爆開発者の伝記映画『オッペンハイマー(OPPENHEIMER)』とともに注目され、SNS上では両作品を合体させたハッシュタグ「#Barbenheimer(バーベンハイマー)」がブームとなった。

そして、この流れに乗っかろうとした、アメリカの『バービー』公式ツイッター(現在はX)が、いま問題視されている。

例を挙げると、一般ユーザーから投稿された、火のようなものが飛ぶなかで、バービーがオッペンハイマー氏の肩に乗る画像に「It's going to be a summer to remember(思い出に残る夏になりそうだ)」と返信したり、バービーの髪形を「キノコ雲」に置き換えたコラージュ画像に「This Ken is a stylist(ケン<バービーの恋人>がスタイリスト)」と反応したり……。これら公式の返信が日本にも知れ渡り、「原爆をからかっている」などと問題視され、ハッシュタグ「#NoBarbenheimer」で反対運動が拡散されるようになった。

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