公開24時間で1万超再生「ナウシカ実写版」の裏側 ブラジル人監督が語ったジブリ作品への「情熱」

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「夢の実現のためにまずは動こう!」と、短編ファンフィルムを自主制作することを決め、ドラマ制作などで蓄えた私財を投じた。ファンフィルムとは、プロ・アマを問わず、映画作品のファンが自らの労力と費用をかけて制作するオマージュ作品だ。スタッフを雇うに十分な資金はなかったが、テックス氏の抱く夢のもとに協力をいとわない仲間が集った。

スタジオでのメーヴェ(ナウシカが乗る飛行装置)飛行の撮影に臨む制作スタッフたち(写真:Daniel Weber)

「制作前に『ナウシカ』を知っていたスタッフはわずかでしたが、制作を通じて多くの人が作品から感銘を受けました。何より自分たちでSFを作るという仲間意識が原動力となりました」

クランクインは2016年で、撮影は翌年には完了していた。しかし協賛のない自主制作ゆえ、撮影後のポストプロダクションに充てる資金がまかなえず、一度は制作の継続を断念しかけた。だが、複数のプロフェッショナルが無償で協力してくれたおかげで、ようやく今年、完成にこぎ着けたのだった。

撮影に使われたグラスファイバー製の王蟲の足の模型(写真:Daniel Weber)

“手作り”だからこそ伝わる監督の想い

さて、公開された16分の短編映画は、原作となる映画の冒頭部分にあたる。ナウシカが立ち入った腐海で王蟲(オーム)の抜け殻を見つけ、その後荒れ狂った1頭の王蟲を鎮めるまでのシーンを再現した。

映像には低予算ゆえの試行錯誤が満載だ。“手作り”で日本アニメの名作をオマージュしたことに、テックス氏のこだわりと熱意が伝わってくる。

撮影に使われたナウシカの衣装。マスクは経年劣化で壊れてしまった(写真:筆者撮影)
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