「岩井の胡麻油」、8代目社長の挑戦とは? 伝統製法による胡麻油を地道に製造

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「岩井の胡麻油」の岩井徹太郎社長(撮影:中村宏之)
企業の信用調査を長年行っている「帝国データバンク」は、『御社の寿命 あなたの将来は「目利き力」で決まる!』では、帝国データバンクが長年蓄積した取材データに、読売新聞の経済記者である私による新たな取材と分析を加え、「目利き力」を育てるヒントを豊富に盛り込んだ。
その柱のひとつとして、全国各地で長年にわたって経営を続け、存在感を示している老舗の社長を取材し、会社を息長く経営するためにどのような努力や工夫が必要なのかをインタビューでまとめている。その中から虎屋、岩井の胡麻油、ホテル佐勘について紹介したい。第2回は岩井の胡麻油。

第1回目はこちら:虎屋は常に新たな挑戦を続けている

岩井社長「移転を機に原点から再構築」

――岩井の胡麻油は150年以上の歴史を持っている会社ですね。

1857(安政4)年千葉県の佐倉で創業し、当時は菜種を中心にいろいろなものを扱っていたようですが、明治時代に入りまして胡麻油に傾注しました。ブランドゴマを中国から輸入し、ゴマを中心に搾油業を営んできました。そのためには港町の立地がいいだろうということで、1893(明治26)年に横浜に工場と本社を構えました。

横浜の開港記念会館に昔の地図がありますが、それを見ると「岩井製油」と書いてあります。以来、横浜で121年続けています。商工会議所から「創業百年会員企業顕彰」などもいただきました。化学的製法や添加物をいっさい使用せず、香味抜群な胡麻油を作ってきました。

10年前に再開発事業があり、本社と工場を現在の神奈川区橋本町に移転しました。それまでは「良いモノを作れば売れる」と良質な製品にあぐらをかいていて、営業努力を怠り、業績が低迷していたのです。移転を機に原点から再構築しようとプランを作りました。制服なども変えたり、社員に対しても式典でのあいさつ、工場の案内、説明の仕方などを訓練したりと、そうした意味でもいいきっかけになりました。

――岩井社長は何代目ですか。

8代目です。私は伊勢丹に34年勤務して2001年に岩井に戻りました。伊勢丹ではシンガポールに5年、パリに5年いたほか、イタリアファッションブランドの日本法人社長を3年務めました。2005年から岩井で社長をしています。

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