すっかり見慣れた商品にもスタートはあります。そのはじまりが社史にはどう書かれているか、アメ玉でもなめながら、気楽に読んでください。
まずはパインアメでおなじみ、パイン株式会社の歴史を書いた『パインアメ物語』(2001年刊行)から。社史としては珍しく文庫本のサイズで、読みやすい内容です。
終戦から数年後、大阪で業平製菓という個人商店を営み、のちに社長となる上田保夫はどんぐりのかたちのアメを丸めていました。
パイナップルの形になったワケ
あるとき、アメの材料がまだやわらかいうちに、平たいかたちにすると、いくらか大きく見えることに気がつきます。空腹を満たすため、消費者は量の多さも求めていた時代です。そこで平たいアメを売ることを思いつきますが、ただかたちを変えるだけではなく、何か工夫をしたいと考えます。「平たくて丸くて、おいしい食べ物て、いったい何やろ」とひらめいたのが、当時は高級品だったパイナップルの輪切りが入った缶詰でした。
製造の機械化など、いくつもの課題を解決し、1951年からパインアメを発売し、ヒット商品となります。しかし、すぐ類似品も出回るようになり、1年後には注文もぱたりと止んでしまいます。そこで、本物とひと目でわかるよう、パイナップルらしく真ん中に穴をあけることを試みます。
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