企業研究、業界研究の基本は「社史」にあり

1.7万冊以上の社史をコレクション

神奈川県立川崎図書館の社史室全景

今回から社史に関する連載をさせていただきます。神奈川県立川崎図書館で社史を担当している司書の高田高史です。よろしくお願いいたします。

初回は自己紹介を兼ねて、当館の社史コレクションと、私が手がけた社史に関する催事を説明します。あわせて、今年6月末に当館で開催するイベント「社史フェア2015」の案内をさせていただきます。

神奈川県立川崎図書館で、全国屈指の社史コレクションを所蔵していることをご存知でしょうか。社史とは企業が刊行した『◯◯会社◯◯年史』といった書籍などです。社史にはその企業の創業時の秘話、発展段階におけるエピソードなど、まさにその会社の歴史が書き込まれており、企業研究、業界研究には欠かせない資料ともいえます。

現在、1万7000冊以上の社史(経済団体史等を含む)を所蔵しています。社史を積極的に収集している図書館は、いくつかありますが、当館では社史室を設けて業種ごとに並べ、大半を自由に手に取って閲覧できることが最大の特色です。

開館間もない頃から社史を収集

社史をコレクションするようになったのは、1958年の開館間もない頃からです。当館の立地する川崎市川崎区は高度経済成長を牽引する京浜工業都市の中核だったので、科学技術や産業の分野に力を入れる特色を持った図書館を目指すことになります。その一環として地域や業種に関わらず、社史という資料を重点的に収集していきます。以来、社史は非売品が大半なので寄贈をしていただきながら、少しずつ数を増やし、現在に至っています。

私が社史を担当した2012年頃から、社史に関する催事や広報に力を入れるようになりました。その一つが、2012年から始めた「社史ができるまで講演会」です。「『日本水産百年史』ができるまで」にはじまり、今年5月の「『ヤクルト75年史』ができるまで」の開催で16回目を迎えることになります。毎回、社史の編纂に携わった社員または役員の方に、苦労話や裏話を交えつつ編纂の過程などをお話していただいています。

参加者は、企業の社史編纂担当者が半分くらいだと思います。社史を作成する際に、他社の優れた社史の編纂過程は非常に参考になると、よく耳にします。実は、私自身、講演の司会をしつつ「この社史は、こんな風に作られたのか」と興味深く拝聴しています。講演後、講師に個別の質問をしたり、講師と名刺交換の列ができたりするのも、当館の他の講演とは異なる光景です。実際に講演後、会社を訪問したり連絡をとったりしているケースもあると耳にしています。

次ページ「社史ができるまで講演会」の意義とは?
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