企業研究、業界研究の基本は「社史」にあり 1.7万冊以上の社史をコレクション

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一般の方を対象に、社史編纂の講演を継続的に行っているのは、企業のセミナーなどを除くと当館だけです。どうやって講師を引き受けてもらっているのか不思議に思われる方もいるようですが「この社史いいなあ」という企業に連絡して「突然ですが」と講師をお願いすることがほとんどです。担当者の方とお話をしていると「社史作成の際、社史室を利用していました」と嬉しい言葉をいただくことも度々あります。

最近は「社史ができるまでの講演を聞いて、社史を作成した」との理由から講師を快諾してくださったり、「是非、講演をしたい」と立候補してくださったりする方もいます。当館の社史の利用に直結するだけでなく、寄贈による資料の充実にも結びつく、好循環が生まれてきています。

作りたての社史を展示するフェアを開催

さて、去年の3月末、風呂に入りながら「そういえば、新しい社史をまとめて見られる機会ってないよな。近刊の社史をまとめて展示したら、社史作成の際とかに便利そうだけど」と思いつきました。翌日には、前年に刊行された社史をまとめて展示したいという企画書を上司に出し、そのまま6月の開催にこぎつけてしまったのが「社史フェア2014」です。

「社史フェア2014」の様子

当館に寄贈していただいた2013年刊行の社史200点以上をホールの机上に平置きし、全てに数行の内容紹介をしたパネルを添えて展示しました。

前例のないイベントだったので、どんな感じになるのかわかりませんでしたが、ご来場いただいた多くの方は、社史を見て熱心にメモをされていたり、同僚の方と「こんな感じの社史にしたいね」などと話をされたりしています。3日間の開催で100名以上が来場されました。2 ~3時間、滞在される方がほとんどで、日ごとに参加者が増え、毎朝、机や椅子を集めて増やしていました。

参加者のアンケートでは「単なる記録としてだけでなく、読者に喜んでもらおう、自社の良いところをアピールしよう、印象度を高めようと工夫されている社史を複数見ることができ、とても楽しめました」「社史は年表と変わらない内容だと思っていたら読みものとしてもすぐれたものがあり、おどろいた。これから社史室に通います」などの記載がありました。会場では「神奈川県立川崎図書館だからこそ可能なイベントだね」と声をかけていただいたりもしました。

そして「来年以降も是非、開催して欲しい」という要望がとても多かったので、今年も2014年に刊行された社史をまとめてご覧いただける「社史フェア2015」を開催します。

これまでの経験で、社史のイベントは平日しか需要がないと思っていましたが、土日も開催してほしいという意見もいただいたので、前年より1日延長し、6月24日(水)から27日(土)まで4日間、開催します。時間は10時から17時です(24日のみ13時~)。お申し込み等は不要です。ぜひご来場ください。お待ちしています。社史を作成された方は、ご寄贈もよろしくお願いいたします。

次回は、昨年の社史フェア2014に展示して、私がとくに印象に残っている社史を紹介します。

高田 高史 神奈川県立川崎図書館 司書

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たかだ たかし / Takashi Takada

1969年8月生まれ。学習院大学大学院修了後、司書として神奈川県に入庁。現在は神奈川県立川崎図書館にて、社史室の運営、科学技術系のサービス全般を担当している。図書館での調査をテーマとした『図書館で調べる』(ちくまプリマー新書)、『図書館が教えてくれた発想法』(柏書房)などの著書がある。趣味は国内旅行とウクレレ。

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