「岩井の胡麻油」、8代目社長の挑戦とは? 伝統製法による胡麻油を地道に製造

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――他社との違いはどんなところですか。

作り方を「圧搾法」にこだわっています。創業以来、変えていません。胡麻油は焙煎が命ですので、ベテランの社員が毎朝、目、耳、舌で焙煎状態をチェックし、微妙に焙煎の時間と温度を変えています。

あとは静置法です。胡麻油をタンクで静置すると不純物が沈殿して、きれいな上澄みになります。それを最終仕上げで濾過して出荷します。遠心分離機を使う方法もありますが、それをやると味が落ちてしまいます。当社は一切やっていません。当社の胡麻油は一度使っていただけると風味香味が違うことに気付いていただけると思います。

胡麻油やラー油をもっと気軽に使ってもらいたい

ラー油もそうです。一般的なラー油は、サラダ油に辛味添加剤と着色料を使っています。当社は添加剤等は使用せず胡麻油と唐辛子だけで煮出しています。赤い色と辛みを3日かけて煮出すのです。唐辛子の辛味赤味はロットごとに微妙に違いますので、職人が微調整をしながら均一した品質に仕上げています。このあたりのこだわりが岩井らしさだと思います。

――今後の目標や展望についてはどう見ていますか。

胡麻油は家庭の常備率も高いのに、家庭で実際に使われているのはオリーブオイルが多い。そういう時代に胡麻油をどう使ってもらえるか。胡麻油やラー油を気軽に使ってもらおうと、「かんたんレシピ」などをスーパーの試食販売会などで配ってPRしています。一般の主婦の方もスーパーなどで見ていただいた時に、どのメーカーも同じ品質だと思っている方が多いんですよね。でもメーカーによって香りとコクが全然違います。ラー油はピザやパスタに使うのもおいしいですよ。トマトケチャップとの相性も非常にいいですし。そういう形で裾野をいかに広げるかを考えています。

当社は意外と最初に出したものもあるんです。1963年に出した「ふりかけ胡麻油」は何にでもふりかけて気軽に食べてくださいという濃口胡麻油です。まだまだドレッシングがない時代です。一部のスーパーさんでは大変好評で、いまだにロングセラー商品です。

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最近は、ちょっとおカネをかけてもおいしいものを食べたいというムードが、ようやく少しずつ出てきました。景気回復もあるでしょうし、安値合戦に疲れている部分もあるのだと思います。やはりおいしいものをちょっとおカネを出しても食べたいねと。

昨年、大手コンビニのローソンの弁当商品「胡麻油香る黒天重」と「胡麻油香る焼きビーフン」に胡麻油が採用され、当社のラベルイメージを弁当の帯封に記載してくれました。関東6県と新潟で期間限定で発売されて大好評でした。

当社の胡麻油の香りや風味を評価して採用していただいたことは、当社の自信につながっています。今後こうしたマーケットや新しいトレンドにも期待したいと思っています。

中村 宏之 読売新聞記者
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