最近の放送では、「鈴木京香×小山登美夫(現代アートの仕掛人)」「大泉洋×日野晃博(ゲームクリエーター)」「吉永小百合×藤原道山(尺八演奏家)」など、各界を代表するプロフェッショナルが続々と登場。深い内容のトークを展開し、Eテレならではの通好みの番組になっています。
この番組にキャラクター界の代表として出演したのが、ふなっしー。2014年11月に放送された阿川佐和子さんとの対談が大きな反響を呼び、今年3月にも再放送されました。なぜふなっしーは、高視聴率のバラエティ番組ではなく、Eテレの番組でこんなにも多くの視聴者をとりこにしてしまったのでしょうか。
キャラクターが喋るリスク
ふなっしーが本格的なトーク番組に出演したのは、『SWITCHインタビュー 達人達』が初めて。「徹子の部屋」(テレビ朝日系)や「スタジオパークからこんにちは」(NHK)にも、いまだに出演していません。キャラクターをトークゲストにというのは、そもそもテレビ業界の常識では考えられないことでした。
なぜなら、ふなっしーが出現する前は、キャラクターが自由にトークをするなんてことは絶対にありえなかったからです。テーマパークやイベントでのキャラクターショーを見ればわかるとおり、キャラクターというのは話せないのが前提。せいぜい、決められた台詞を言うぐらいです。
キャラクターが話せない理由はいくつかありますが、その最大の理由は、「話してしまうと独自の世界観が保てないこと」。登場する日時、場所によって、声の高さやトークの切り返しが変わってしまったら、人間らしさが前面に出てしまい、キャラクターとして成り立たなくなってしまうのです。たとえば東京にいるドラえもんと、大阪にいるドラえもんが別人のようだったら、「どっちが本物のドラえもんなのか」という話になり、困った事態になります。
その前提を大きく覆したのが、ふなっしー。当意即妙に受け答えができるキャラクターは、おそらく世界初。すべて1梨でこなし、1梨で世界観を完結させているからこそできる技です。キャラクターが話すというのはあまりに珍しいので、米CNNは、昨年6月に「Talking pear becomes Japan’s superstar mascot」(しゃべる梨が、日本のスーパースターになった)と題したリポートを放送したほどです。
Talking pear(しゃべる梨)の能力がいかんなく発揮されたのが、『SWITCHインタビュー 達人達』。阿川佐和子さんが、矢継ぎ早に繰り出す「着替えは何着?」「本業は?」「ふなっしーになる前は?」「幸せとは?」といった質問に一瞬たじろぎながらも、抜群の機転で切り返していきます。
ここで阿川さんが聞き出したのが、独り(梨)で奮闘してきた歴史です。最初は誰も相手にされず、不審者扱いされたこと。イベント会社もショッピングモールも、どこも相手にしてくれなかったこと。船橋市に公認を得られなかったこと。公認を得られなかったため、「ゆるキャラさみっと」に物販ブースを手伝うアルバイトとして参加したこと。
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