軽い気持ちで「副業」始めた20代女性を襲った悲劇 キラキライメージあるが「兼業とは、限界の塊」

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副業、それは「限界の塊」……筆者がそう語る理由とは?(写真:buritora/PIXTA)
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政府が推奨するなど、年々副業をする人が増えている令和。キラキラしたイメージで見られがちですが、実際に副業をしたことがある人は、意外とこんなふうに思っていることも。
「実際はもっと泥臭いものなんだよ。というか、精神的にも肉体的にも大変なんだよね……」
「会社の収入だけで不安なく暮らせるなら、自分も副業なんかしないよ……」
副業社会人たちの、意外と(?)キラキラしていない切羽詰まった日常の実態、そして、そこから見える日本の現在とは? 約3年にわたって、会社員と書評家の二足のわらじ生活を経験した、三宅香帆さんが送るエッセイ&インタビュー連載。

たまに、兼業時代の夢を見ることがある。

それはたいてい外出先で、私は「やばい、これから会議なのに、会社のPC持ってきてない」と気づくのだ。

手元には、自分のPCしかない。終わった。やばい。資料を映せない。――そのような焦りのなかで、起きる。そして「ああ、専業になったんだった」と苦笑する。ちょっとだけ背中に汗をかいている時もある。

副業をやっていた頃のことが、私にとってはトラウマのようなものになっている、のかもしれない。

政府は副業推進、会社もOK、でも…

私が会社に勤めながら、文筆業の副業をしていたのは、ちょうど1年ほど前のことだ。結局会社を退職して、副業だった文筆業に専念している。

ニュースでは、「政府が副業を推進している」と言われて久しい。

学生時代から文筆業を営んでいた私も、最初から副業OKの規定があることを確認し、その会社に入社した。副業ならゆるゆる文章を書きながら、本業でしっかりお金を稼げるかな、と思っていた。

しかし現実は、怒涛の日々だった。退職してそれなりに時間が経ってから、兼業時代のことを思い出すことが増えた。そしてそのたび、言葉を選ばずに言えば――「限界だったな……」と思うのだ。

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