「廃業か自己破産か」経営者を悩ませる最大の問題 廃業するにも借入返済、廃棄工事のお金が必要

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また、本稿は廃業の意思決定や進め方にフォーカスしましたが、資金面も課題です。借入金返済に加えて、従業員への退職金支給や工場・店舗など施設の廃棄工事に新たな資金が必要になります。廃業資金についても、税制・融資・補助金などの支援が必要かもしれません。

廃業というと、後ろ向きな印象があり、どうしても経営者も国も目を背けてしまいがちです。民間の経営コンサルタントも、商売になりにくい廃業支援とはできるだけ距離を置こうとします。

しかし、廃業は多くの高齢経営者にとって避けて通れない課題ですし、決断できず悶々と悩み続けるよりも、早期に決断し、新しい生活に踏み出す方が幸せになるでしょう。

人材・資金の流動化を

国家レベルでも、将来性がない企業に人材・資金が滞留し続けるよりも、廃業して将来性のある企業に人材・資金が移動する方が、大いにプラスになることでしょう。

そう考えると、廃業支援は、無視できない喫緊の国家的な課題と言えます。経営者が廃業としっかり向き合い、国・専門家が廃業を支援するようになることを期待しましょう。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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