子どもの集中力は、こうやって作り出せる! 気が散りやすい子を変える簡単な「仕掛け」

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:君は家であまり勉強していないようだね。

生徒:……はい。

:やる気が起こらないんでしょ。

生徒:学校から帰ってきて、すぐには勉強する気になりません。

:ゲームだったらどうする? すぐやるんじゃないの?

生徒:そうかもしれません。

:ゲームは面白くて勉強は面白くないから、当然、面白いほうを選ぶよね。でも、できれば勉強をしたほうがいいよね。

生徒:はい。

:重要なことは、「勉強する雰囲気」にもっていく準備作業ができるかどうかということなんだよ。もし勉強するようになりたければ、教えるけども、知りたい?

生徒:はい。教えてください。

:人によって型がいろいろあるんだけど、家で勉強する前に、まず「勉強のような遊びのような作業」をやるんだ。私も子どもの頃、家でなかなか勉強する気になれなくて困っていたんだよ。そこで考えたんだ。どうすれば自分をやる気にさせられるか。それが「漢字の練習」だった。漢字は勉強の一種だけど、字の練習のようなものでもあるね。毎日、家で勉強するときに、いきなり数学や英語などをやると、やる気が出ないから、いつまでもやらない状態が続いてしまうけども、簡単にできる「漢字の練習」を最初に15分ぐらいやると、自分の気分が「OFFのモードからON(勉強)のモード」へと変わるんだよ。面白いものだね。その後は、数学でも英語でもなんでもやったらいいよ。

 これは私が偶然、中学のときに発見したことでした。その後、集中できないタイプの人が集中できるようになった場面を見ていると、作業の前にある「型」を持っていることがわかりました。つまり、気持ち(心)を切り替える「型」を持っており、それを行うことで上手に自分の気持ちをコントロールしているのです。

社会人でも同様ではないでしょうか。いきなり出社して、仕事をバリバリやるのではなく、その前に仕事モードへと切り替える。ある「型」を行ってから徐々に本題の仕事に入っていくように思います。

スポーツの世界でも、水泳のような競技では、いきなりフルパワーで泳ぐのではなく、準備体操をして、軽くウォーミングアップで流してから徐々に気分を高めていくのではないでしょうか。お気に入りの音楽を聞いて、気分を高める選手がいることもよく知られていますね。ですから勉強するためにも、まず自分にあった「OFFのモードからON(勉強)のモードへ切り替える『型』」を勉強前に入れると効果があるはずです。

「型」といっても何をしたらいいかわからないときは、私が子どもの頃やっていたのと同様、「漢字の練習」をするのがお勧めです。1日10分から15分、漢字の問題集を使って練習してみましょう。漢字が書けるか書けないかという点数を目的にするのではなく、字の練習という程度の気持ちで行うのです。ウォーミングアップの効果があるのと同時に、結果として漢字も習得できてしまいますので、一石二鳥です。

また、このモードの切り替えの「型」として、好きな科目を当ててもかまいません。むしろ好きな科目の単純作業(漢字、単純計算問題、音読など)を当てたほうが入りやすいかもしれません。しかし、注意しなければならないことは、この作業はあくまでも、OFFモードからONモードへの切り替えとしての「型」ですので、時間にして最大15分程度にすることです。そうしなければ、好きな科目をどんどんやり、その後、時間がなくなって苦手な科目は手つかず状態になってしまう可能性があります。

集中力は、このように仕組みを作ることで、引き出すことができるようになるものです。「うちの子は集中力ない」とお悩みの親御さんは、ぜひ一度、試してみてはいかがでしょうか。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育専門家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4500人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、カフェスタイル勉強会Mama Cafe(累計1万3千人のママさん参加)、執筆、講演を精力的に行う。教育学修士(東京大学)。著書に『子ども手帳』『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』『子どもを育てる7つの原則』など国内30冊、海外13冊。音声配信Voicyでは「子育てランキング1位」の人気パーソナリティを務めている。

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