子どもの集中力は、こうやって作り出せる! 気が散りやすい子を変える簡単な「仕掛け」

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実は清水君は、教科書や参考書で歴史を勉強するのではありません。歴史小説や、歴史の史実が書かれた本を読んで学んでいるのです。日本史が受験科目でしたが、センター試験の日本史が、60分の制限時間ですぐに終わってしまいます。暇だから世界史もやってしまい、共に90%以上の得点をする子でした。好奇心から生まれた集中力は、尋常ではありません。清水君の場合は、自分の好きな歴史がたまたま受験科目にあり、実力が顕在化されたので幸運でした。

また、こういう子もいました。中学2年生の斉藤君は「没頭型」の子で、特に得意な数学の時間は、私が話しかけても計算中はいっさい反応せずに取り組んでいました。机の上のペンケースが落ちかかっているのに気がつかずに、黙々と取り組むような状態です。これだけの集中力ですから計算ミスはほとんどなく、その後、彼はトップクラスの高校へ進学しました。

「集中タイプ」と「拡散タイプ」では行動が違う

しかし、誰もがこのようなタイプとはかぎりませんね。私は、人間は「集中タイプ」と「拡散タイプ」の2つに分かれているように思います。集中タイプは前述した清水君や斎藤君のような人ですが、なかなか集中モードに入れず、どうしても気が散ってしまうタイプの人も多いものです。

生徒でいうと、一部の先天的な集中力を持つ人は別として、部活動で“頑張っている”人ほど集中タイプが多いように思います。部活動で勉強する時間が十分にとれないため、短時間で勉強をこなす必要性から集中力が高まるようです。この集中タイプは、切り替えも早く、思考の世界やイメージの世界に没頭することができます。ですから一般に勉強がよくできます。

一方、「拡散タイプ」の人は、周囲の様子が気になって目前のことに手をつけられないようです。ですから、なかなか集中できず、学んでも身に付きにくい傾向にあるように感じます。このようなタイプに、「集中しなさい!」と言ったところで、集中できるはずもありません。タイプが違うのです。

もちろん、ものは考えようです。周囲のことが気になってしまうということは、「よく気がつく」「気配りができる」「人の気持ちがわかる」という特性があるということです。サービス産業型の人材として、将来、活躍する可能性があると思っています。これもある種の才能ですので、拡散型が一概に悪いわけではありません。

とはいえ、もちろん受験勉強には集中力があるに越したことはありません。お子さんが集中できない拡散タイプだったとしたら、どうやって集中できるようにさせたらよいでしょうか。さて、ここからが本題です。次の生徒とのやり取りをご覧ください。

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