「開成から2浪東大不合格」進学校最下層の絶望 慶應に補欠合格、社会人になった彼の仕事は?

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年々周囲との差が開いていってしまったMJさんは、「堕落してしまいました」と当時を振り返ります。

「部活の大会が終わった中3の後半から暇になったので、秋葉原や池袋に行って遊戯王カードの売り買いをしていました。周囲は模試で1位をとっているときに、僕は遊戯王の大会に出ていたんです。勉強で勝てないから、せめてほかで勝ちたいなと思っていました」

中学3年間の試験の順位はずっと290/300位だったMJさん。高校に上がってから新たに100人が入学するも、その100人にそのまま抜かれて学年390/400位が定位置だったそうです。

運動会の団長に立候補したが…

周囲にどんどん置いていかれて焦っていた高校生活の中で、MJさんに2つ目の転機が訪れます。

「僕はもともと運動会の盛んな開成が好きで、その団長になりたくて開成に入ったという理由もあります。だから、高2の6月に次年度の団長を選ぶ選挙に立候補しました。

開成で崇められる人は2パターンあるんです。1つ目は勉強ができる人。2つ目はカリスマ性がある人でした。後者は成績が悪くても一目置かれる人です。周囲を統率する運動会の団長がまさにそれに当てはまったので、自分もそうなりたかったんです」

団長になるのは高校3年生になってからです。毎年5月に行われる運動会が終わった翌月に、高校2年生が次年度の団長に立候補して、選挙が行われます。高2になったMJさんも立候補したのですが、残念ながらその目標はかないませんでした。この挫折がきっかけで彼は、学校に行けなくなってしまったそうです。

「僕は勉強ができる人間でも、カリスマ性がある人間でもないことがわかりました。その瞬間に頭の中がぐちゃぐちゃになってしまい、家にこもってネットばかりしている人間になってしまったんです。開成のことも同級生のことも好きなんですが、自分のことが好きになれずにくよくよした6年間を送ってしまいました

こうして最終学年を迎えたMJさんは、何に対しても気力が沸かず、模試も受けないまま受験に臨みます。

「現役はもう落ちることがわかっていたので、親に受験料を抑えてほしいと言われて東大しか受けませんでした。センター試験は500/900点で、足切りを回避するために文科I類を受験して、落ちました」

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