「開成から2浪東大不合格」進学校最下層の絶望 慶應に補欠合格、社会人になった彼の仕事は?

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MJさんは、父親がホテルマン、母親が専業主婦という家庭に生まれました。父親は大卒ではありませんでしたが、母親は1浪で青山学院大学を卒業し、教育熱心な家庭だったそうです。

「小学校でSAPIXと四谷大塚の両方に入って、中学受験の勉強をしました。それ以外にもロボット塾や速読教室など、小学校時代に通った塾を数えると15~16個くらいになります

小さい頃からつねに勉強する環境で育ったMJさんは、算数オリンピックでは何年も連続で決勝に残るなど、持ち前の才能をフルに発揮し、通っていた公立小学校でいちばんの成績だったそうです。

中学受験では筑波大学附属駒場中学校に惜しくも届かなかったものの、そのほかに受けた4校には合格し、開成中学校に進学しました。

開成合格で切れたガソリン

順風満帆に見えるエリート人生。しかし、彼や彼の家族にとっては、この開成合格が1つの転機だったそうです。

浪人 東大 開成
東大に多数合格、超進学校の開成高等学校(写真: MARODG / PIXTA)

「僕を中学受験の塾に通わせるために、多額の借金ができてしまったんです。母親は専業主婦だったのですが、共働きせざるをえなくなり、これ以上教育にお金をかけられないという状況になりました。また、僕自身も開成合格がゴールだと思って勉強していたので、(緊張の糸が)プツンと切れてしまいました」

中学1年生の最初の中間試験では、クラス43人中42位という順位に終わってしまったMJさん。それでも、その結果に悲壮感はなかったそうです。

勉強しなくても大丈夫だと考えていました。開成に入ったら東大に行けるだろうと、勝手に思っていたんです。それで遊んでいたから、いつの間にかちょっとやそっとじゃ追い付けない差ができてしまっていました。よくよく考えたら、街の小学校でいちばんの人間が集まっている学校だから、入ってからも頑張らないといけなかったんです」

開成では、ただでさえ優秀な人たちがものすごく勉強していたそうです。MJさん自身も頑張ろうという気持ちはありましたが、一度緩んでしまった気持ちをなかなか立て直せずにいました。

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