漫画執筆とギャンブル場を行き来する生活
転機となったギャンブルシリーズ『賭博師たち』。
この作品では、絵のタッチもそれまでのアメリカンコミックの画風から、バタくささは残しつつも、日本風のタッチに変えた。描画にはつけペンではなく主に面相筆を使い、その後も一貫して、ペンのタッチをいかに筆で表現するかを探求した。
綿密な取材をもとに描く漫画はリアリティがあって、すぐに人気を博した。
漫画執筆とギャンブル場を行き来する生活をしていた、ある暑い夏の日。バロンさんはいつも通り、クーラーのないアパートの一室で窓を開けて仕事をしていた。午後6時だが、まだ日は高く暑かった。
アシスタントは3人いたが、1人は買い物に行っていた。
「急に電気を消したみたいに暗くなったの。黒雲が落っこちてきたみたいだと思った。そうしたら横から稲妻がバリバリと鳴って、ブワー!! っと旋風が、アラレまじりの突風が部屋の中に吹きまくった」
竜巻だった。息をするのがやっとだったという。
狙いすましたように、バロンさんの高台にあったアパートにだけ、竜巻が発生した。



















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