便秘薬には大きく分けて、水分量を増やし、便を軟らかくする非刺激性の薬(酸化マグネシウムなど)と、腸を刺激して動きを活発にする刺激性の薬(センナなど)がある。
「刺激性の薬を常用していると、徐々に効きにくくなって、使用量が増えてしまうことがある。できるだけ日常的には非刺激性の薬を使い、刺激性の薬はそれでも出ないときに一時的に使うようにしましょう」(鳥居医師)
新薬が続々登場し治療も個別化
しばらく市販薬を試しても便秘が改善しない場合や、便秘によって日常生活に支障がある場合は「迷わず、病院を受診してほしい」と鳥居医師。
「近年は便秘治療の新薬が続々登場し、それぞれの症状に合わせたオーダーメイド治療が可能になっています」(鳥居医師)
たとえば、「ルビプロストン(アミティーザ)」は便を軟らかくして排便を促す作用がある新薬だ。「リナクロチド(リンゼス)」はIBS便秘型にも効果があり、便を軟らかくすると同時に、腸の知覚過敏による腹痛も和らげる。「エロビキシバット(グーフィス)」は便を軟らかくする働きと腸の動きを良くする作用で、自然な排便を促す。
漢方薬も有効だという。
代表的なものには、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)や潤腸湯(じゅんちょうとう)、大建中湯(だいけんちゅうとう)などがある。症状の違いに応じて選択されるが、潤腸湯は高齢者や体がやや弱っている人の便秘によく使われる。大建中湯はお腹の張りにおだやかによく効き、即効性もあるため、ほかの便秘薬と併用してよく使用されるという。
「便秘の原因をよく理解して、生活習慣を改善することも重要です。食物繊維が豊富な食材と適度な油分を摂り、こまめな水分摂取、適度な運動、ストレスの軽減も大切。生活改善に加えて、医師のもとで適切な薬をうまく使いこなすのが便秘解消のコツです」(鳥居医師)
(取材・文/石川美香子)
鳥居 明医師
主な監修書に『図解よくわかる 過敏性腸症候群で悩まない本』(日東書院本社)。
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