【便秘】腸運動が停滞「便意をガマン」が招く問題 要注意!常習的に「強くいきむ」と心血管に負荷

✎ 1〜 ✎ 85 ✎ 86 ✎ 87 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ストレスが過剰にかかっている人に心配される便秘が、過敏性腸症候群便秘型(以下、IBS便秘型)だ。腸と脳には密接な関係があるため、脳が強い不安やストレスを受けると、そのストレスが信号となって腸に伝わって、腸の動きが悪くなり、便秘が生じる。このタイプでは体質的に腸が過敏であることが多いため、強い腹痛を伴いやすい。お腹が痛くても便が出にくく、つらい思いをする人が多い。

このIBS便秘型の人の中には、腹痛が原因で排便中に「迷走神経反射」が起こり、倒れてしまうケースもあるという。迷走神経反射とは、ストレスや強い痛みが加わったときに、脳神経の1つである迷走神経が刺激され、一時的に心拍数や血圧が下がる状態をいう。

「IBS便秘型の腹痛は、若い人ほど強く出る傾向があります。重症の場合は腸閉塞と同じくらい苦しく、あまりのつらさに指で肛門から便をかき出す人もいるほどです。便秘による迷走神経反射とそれに伴う致死的不整脈で亡くなるケースもあります。たかが便秘と侮れません」(鳥居医師)

なお、便秘のなかには、まれに病気が裏に隠れている場合もある。大腸がんや甲状腺機能低下症、パーキンソン病、糖尿病のほか、レビー小体型をはじめとする認知症でも初期には便秘症状が見られるという。

薬による便秘もある。抗うつ薬やオピオイド鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、咳止め薬などで起こりやすい。

便秘で肌荒れ、大腸がんになる?

ところで、便秘にはいろいろな“ウワサ”がある。それについても鳥居医師に聞いた。

まずは「大腸がんになるのではないか」というもの。これについてはどうだろうか。

「便秘の人は大腸がんになりやすい、という因果関係の証明はされていません」と鳥居医師。ちょっと安心だが、別の病気とは関係はあるという。

「問題になるとしたら、循環器系の疾患や腎機能障害です。とくに、慢性的に4日以上便が出ない人は、排便時にいきむことが多い。日ごろから循環器系に負担をかけているので、循環器系の疾患にかかる割合が高まるようです。そして、歳をとれば誰でも腎臓の機能は落ちますが、慢性的な便秘によって腎機能障害が発症するケースも少なくありません」(鳥居医師)

便秘を原因として「肌荒れが生じる」「体に毒素がまわる」「口臭や体臭がキツくなる」「太る」という、ちまたのウワサも気になる。

「便秘で肌が荒れたり、体に毒素がまわったり、口臭や体臭が強くなったり、太ったりといったことはまずありません。あるとしたら、むしろ“便秘を引き起こすような偏った食生活や運動不足”がそうした症状を引き起こしているのではないかと思います」(鳥居医師)

便秘を何とかしたいと思っていても、どこで診てもらえばいいかわからないという人もいるだろう。鳥居医師がすすめる診療科は「消化器内科」だという。昨今は便秘治療に特化した「便秘外来」を設置している医療機関もある。

「便秘はどう困っているかによって対応が異なります。病院選びでは、患者さんの訴えをていねいに聞いてくれる医師のいるところがいいでしょう」(鳥居医師)

病院に行く前に、まずは市販の便秘薬を試してみたいという場合はどうだろうか。たくさんの便秘薬が発売されているが、選び方のコツや注意点を聞いた。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事