【便秘】腸運動が停滞「便意をガマン」が招く問題 要注意!常習的に「強くいきむ」と心血管に負荷

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便秘にもいろいろなタイプがあるが、女性や高齢の男性(75歳以上)で多いのは、何らかの理由(理由については後述)で大腸の動きが低下して、便の通過時間が長くなる「大腸通過遅延型便秘」だという。

本来、大腸は、小腸から送られた食物のカス(残渣:ざんさ)から水分を吸収し、便にするという働きがある。そして大腸で作られた便は、蠕動(ぜんどう)運動によって肛門側に押し出される。この蠕動運動が鈍くなることで、便の停滞時間が長くなるのが、このタイプだ。

その理由について、鳥居医師はこう説明する。

「まず、ストレスです。『腸は第二の脳』と呼ばれるほど、脳と密接な関係にあります。腸と脳は自律神経によってつながっていて、脳がストレスを感じると腸の働きにも変化が起きる仕組みになっています。そのため、緊張やストレスなどで交感神経が優位になって自律神経のバランスが乱れると、大腸の働きが低下し、腸の蠕動運動も鈍って便秘が生じます」(鳥居医師)

10代~40代ぐらいの女性は、女性ホルモンも原因となっている。

「女性ホルモンの1つプロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵から月経までの期間や妊娠期に分泌が盛んになりますが、腸の働きを抑える働きがあります。そのため、便秘が起こりやすくなるのです」(鳥居医師)

また、これは大腸遅延型ではないが、ダイエットなどで食事の量を減らすと、そもそもの便の量が少なくなる。結果、排便回数が減って便秘になることも、若い女性では多い。

高齢の男性の場合は、加齢が大きく影響する。

まず、大腸の蠕動運動が加齢の影響で起こりにくくなる。そして、便を押し出すときに使うのが腹圧だが、その腹圧をかける筋肉も減ってくるため、便を排出しにくくなる(このほかに、持病の治療のために飲んでいる薬の影響で便秘になることもある)。

便意を感じる力が弱まることも

一方、忙しさなどで、便意を感じたときにトイレに行かないことを繰り返していると、便意を感じる力が弱まっていくこともある。これが「排便困難型便秘」だ。

便が大腸に残ることで水分の吸収が進み、便が硬くなる。その結果、強くいきまないと出なくなり、排便に時間がかかるようになる。

女性のなかには、「恥ずかしいから」といった理由で、会社や旅先のトイレで排便できない人もいる。そういう人もこのタイプの便秘になりやすいので、要注意だ。

医師は「適度な運動は便秘薬に匹敵する」と話す(写真:編集部撮影)
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