財政赤字という病を断ち切るための名案--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

財政をめぐる議論の客観性を高めるために、各国は独立した財政審議会を設置すべきだろうか。政府の財政政策について、元ナスダック会長で現在投獄中のバーナード・マドフは、「政府のやっていることはポンジスキーム(ネズミ講の一種)そのものだ」とコメントしている。

この発言は、500億ドルという記録破りの額のファンドに絡む詐欺事件で終身刑を言い渡されそうな男の戯言かもしれない。しかし、いくつかの経済大国が持続不可能な公的債務と巨額の年金負担を抱え、さらに成長の鈍化という厳しい状況に直面している以上、その財政運営に疑問を呈するのは当然である。

近頃、私はメリーランド大学のカーメン・ラインハート教授と共同で「債務の10年」と題する論文を発表した。その中で、連邦政府、州政府、地方政府の債務を含む米国の一般政府の債務残高が、第2次世界大戦終戦時に記録された対GDP比120%という過去最高の水準を超えていることを示した。

日本の状況はさらに悪く、その比率は200%を超えている。しかも日本は、巨額の災害復興費用の負担だけでなく、人口減少にも直面している。ほかの先進国の債務水準も、平和時にもかかわらず150年ぶりの高水準に近づいている。

これらの問題に対する簡単な解決策は見当たらない。当面、低金利で債務返済の増加は抑制されている。しかし、債務は長期にわたって徐々に削減することしかできないが、インフレ調整後の実質金利は急激に上昇する可能性がある。債務危機は晴天の霹靂(へきれき)のごとく襲ってくるのだ。債務が増加している国には、想定外の事態悪化に対応するだけの余裕はなく、金利上昇の影響が直撃することになるだろう。

独立した財政審議会を設立する直接の狙いは、政府の楽観的な経済成長と歳入見通しとは異なった見通しを出すことによって、歳出の増加を抑制することだ。独立した財政審議会なら、政府保証やオフバランスの隠れ債務を認識するよう政府に迫ることができる。

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