「小児医療」家族の葛藤伝える漫画家の切なる思い 漫画「プラタナスの実」が挑んだ答えのない問い

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小児医療の現場における葛藤を描いた『プラタナスの実』。作者である漫画家の東元俊哉さんが作品に込めてきた思いとは──?
少子化、モンスターペアレント、コンビニ受診──。
小児医療の現場には今、難しい社会問題が山積しています。医師をはじめとする医療従事者たちは、患者である子どもたちの感情にじっくり寄り添いたいと願う一方、「もしも」の大病を見落とさないように、日々張りつめて過ごしています。
そんな、子どもが好きなだけでは戦えない現場で働く小児科医、鈴懸真心(すずかけまこ)を描いた漫画が『プラタナスの実』(小学館)です。真心の穏やかな笑顔に隠された日々の葛藤が、読む人、とくに子どもを持つ親たちの心に迫ってくると話題です。
先日、最終回を迎えた同作に込められた思いとはどんなものだったのか。作者である漫画家の東元俊哉さんに聞きました。
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小児科医を題材に漫画を描いた理由

──医療に携わる人物を題材にした理由について教えてください。また、たくさん診療科があるなかで、なぜ小児科医にフォーカスされたのでしょうか?

東元俊哉(以下、東元):もともと、医療ものには(読者としても)興味はなく、自分が医療を題材に漫画を描くという発想はありませんでした。編集の方から「小児医療の漫画描いてみませんか?」と誘われて、それがこの漫画を描くきっかけになりました。

僕には小さい子どもがいて、小児科は身近な存在でした。また、家族をテーマに何かやりたいと考えていたので、題材としてぴったりだと思いました。

──小児科医や医療現場について、執筆する前、執筆中、執筆後でどのような気持ちの変化がありましたか? また、どんな点を意識しながら描かれていきましたか?

東元:この漫画を描く前も描いてる間も不安しかありませんでした。医療について知らないことが多すぎました。それに加えて、コロナがはやり始めて取材がなかなか十分にできなくなってしまいました。本当を言うと僕は取材を目的に1カ月間入院したかったくらいなんです。

それでも足りないだろうと思っていましたが、そんな中でもたくさんの方々にご協力いただき、お話を聞くことができました。

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