震災にも強いクラウド、日本での普及は急加速へ セールスフォース・ドットコム会長兼CEOに聞く
サーバーの集約により電力消費量が3%に
──震災を機に、BCPのツールとして、クラウドの利点が注目されています。
確かに、クラウドは自然災害などに対して強みを発揮する。データを、その地域だけでなく、海外のデータセンターにバックアップとして保持できるためだ。もし、データをバックアップするシステムを自前で作ろうとすれば、非常にコストがかかる。大規模な企業であれば、そうしたコストを負担できるかもしれないが、ITスタッフの費用さえ捻出することが難しい中規模・小規模の企業にとっては、クラウドによるデータのバックアップは非常に大きなメリットになる。
──原発事故の影響で、日本では節電が大きな課題になっています。
クラウドには劇的な節電効果がある。現在、セールスフォースは世界9万2300の企業・組織にクラウドサービスを提供、バックアップ用も含め3000台のサーバーで運用している。従来の社内運用や自社だけで用いるプライベートクラウドであれば、必要なサーバーの数は最低で9万2300台。バックアップ用のサーバーを含めればもっと膨大な台数になる。したがって弊社のクラウドの消費電力は、自社運用型環境の3%より少なく済んでい
る計算になる。
重要な点は、一つのシステムを複数の企業・組織で共有できるパブリッククラウドに、節電のメリットがあるということだ。自社専用のプライベートクラウドには節電のメリットはない。
--クラウドサービスは外資のほか、通信事業者、ITベンダーなど多くの日本企業も提供しており、多くの企業が顧客からの引き合い増に沸いています。
慎重に判断してほしい。クラウドという言葉を使っていながら、実は「偽クラウド」(false cloud)のサービスが非常に多い。
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