震災にも強いクラウド、日本での普及は急加速へ セールスフォース・ドットコム会長兼CEOに聞く

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私が考える本物のクラウドとは、ユーザーをハードやソフトへの投資から解放し、コンピュータを低コストで使えるようにするもの。まるで電話のようにユーティリティとしてアプリケーションを使えるようになって初めて、ユーザーは多くのメリットを享受できる。しかし、そうはなっていないおかしなクラウドが蔓延している。

偽クラウドを見分けるには、いくつかのポイントをチェックすればいい。これを私は「クラウドコンピューティング・テスト」と呼んでいる。

まず、ハードやソフトのコストがゼロで、サービスに対しての従量課金になっているかどうか。データセンターの場所貸しをしているだけで実際には各社ごとに専用のサーバーを割り当てているようなものが非常に多い。データセンターで使用しているミドルウエアなどの利用料金を請求するベンダーも多いが、これは偽クラウドだ。

サービスのアップグレードが自動的に実行されるかどうかも重要。弊社の場合、サービスを止めることなく年3回のアップグレードを実施している。これにより、ユーザーはつねに最新技術に対応したサービスを利用できる。

民主的なシステムかどうかも検討してほしい。本物のクラウドであれば、大企業にも、中規模・小規模の企業にも同等のサービスを提供できる。そうではなく大企業に限定したサービスになっているようであれば偽クラウドだ。そのほか、ユーザー側の指示により簡単に機能拡張ができるかどうか、システムの電力効率が優れているかどうか、といった点もチェックしてほしい。

信頼を得るためには透明性が重要だ

--4月下旬、米アマゾンのクラウドサービス「EC2」が長時間停止するトラブルがありました。企業の間に、クラウドへの不安感が広がるかもしれません。

アマゾンのサイトで起こったことは、クラウドコンピューティング業界が急成長していることの証しだ。アマゾンはいま成長に伴う痛みを経験している。すなわち、急激な成長に伴いデータセンターの設計など技術面を見直せば解決する問題であり、これによってクラウドコンピューティングの勢いが止まることはない。

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