震災にも強いクラウド、日本での普及は急加速へ セールスフォース・ドットコム会長兼CEOに聞く

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さらに、日本企業は先進的だ。ファーストリテイリング、損保ジャパン、日本郵政など、弊社の顧客はクラウドコンピューティングのイノベーションにおいて世界をリードする存在だ。インターネットが政府によってコントロールされていないことも、弊社のようなインターネット企業にとって不可欠な条件だ。政治的に安定している点も非常に重要だ。

──最近、日本のベンチャー企業への出資が増えています。

昨年10月にシナジーマーケティング、今年4月にウフルに出資したが、これで終わりではない。今後とも日本ではクラウド関連のスタートアップ企業への投資を強化していく。出資によりクラウドの革新を後押しすると同時に、日本にクラウド産業を生み出すことを目指している。クラウド産業が育っていけば、日本経済はもとより弊社の顧客企業の成功にとってもプラスだ。

日本には起業家精神が欠けていると聞くが、私はそうは思っていない。日本に欠けているのはビジネスの創造性とリスクテイクを後押しするシステム。日本の起業家に刺激を与えて鼓舞し、クラウドの革新を実現していきたい。

Marc Benioff●1964年生まれ。アップル、オラクルでの勤務を経て99年にCRM(顧客情報管理)サービスのセールスフォース・ドットコムを設立。同社を企業向けクラウドコンピューティングの代表的企業に育て上げた。

(聞き手:山田俊浩 =週刊東洋経済2011年5月21日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。


(撮影:風間仁一郎)

 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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