上図は2012年度のアルコール性肝硬変患者が平均して飲んでいた、トータルの純アルコール量の調査結果です。男性1520㎏、女性1050㎏でした。平均年齢は男性63.9歳、女性56.9歳で、1日の平均飲酒量を算出すると純アルコール量で100g以上になります。日本酒5合を超えるような飲み方を続けていると、男性は40年、女性は30年で肝硬変になりやすいことがわかりました。
このことから、人生100年時代、ずっと健やかな肝臓を維持するためには、どれだけお酒に強い人でも1日の平均は60gまでが許容量なのです。飲んでも赤くならない「NN型」の人は、とにかく1日の酒量の上限を超えるような飲み方をしないことが大切です。その量を超して飲み続けると肝臓が機能を失う「肝硬変」になるリスクがとても高くなります。
赤くなるけれど飲める「ND型」の飲んでいい量が少ない根拠もお伝えしましょう。
がん予防につながるお酒の飲み方
上図は食道がん患者のアルコール分解における遺伝子型の割合を示したもの。この調査結果にある通り、毎日飲酒する人のうち食道がんになった割合は、お酒が飲める「NN型」が約3割なのに対し、赤くなるけれど飲める「ND型」が約7割と圧倒的に多かったのです。
その理由は、赤くなるけれど飲める「ND型」の人はアルコールの代謝中に発生する有害物質のアセトアルデヒドの分解が遅いため、肝臓だけでなく食道や咽頭がんのリスクも高くなるから。一般的にアセトアルデヒドの発生は肝臓だけと思われていますが、唾液を通してもアルコールが分解されるので、ND型の人が飲酒をすると、お酒の通り道である咽頭や食道はアセトアルデヒドにさらされ続けることになります。
このことから赤くなるけれど飲める「ND型」のほうが、「NN型」の人よりも飲酒量の上限が少なくなります。ND型の人は、この1日の上限を守るほか、アルコール度数の高いお酒を避けることも、がん予防につながります。
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