細胞内にはブドウ糖がなくて、細胞外の血液中にはブドウ糖が多い状態が続くと、浸透圧により細胞の中の水が血管へ引き寄せられ、おしっこが多くなります(多尿)。細胞は水がなくなり脱水が起こります。脱水症状とは、のどの渇き、口の渇き、乾燥した皮膚、倦怠感、頭痛、めまいなどです。重度の脱水症状では、意識混濁や低血圧といった深刻な症状へと進みます。
糖尿病の治療指針(ガイドライン)では、このⅡ型糖尿病に対して、飲むと血糖値が下がる「経口血糖降下剤」という薬を処方します。原因の食べすぎについて、なぜもっとアドバイスしないのでしょうか? せっかく「生活習慣病」というわかりやすいジャンルに入っているのに……。
原因の食べすぎを治さないで、治療指針(ガイドライン)に従って薬(経口血糖降下剤)を飲んでいると、どうなるか。この薬は5種類ほど作用が異なるものがありますが、どれも飲むと血糖値が下がります。どうやって下げるか?
腸からブドウ糖の吸収を減らしたり、肝臓で新たにつくられるブドウ糖の量を減らしたり、インスリンの分泌を刺激したり、インスリンの感受性を上げたり、炭水化物の消化と吸収を遅らせたりして、血糖値を下げるのです。
薬で血糖値が下がったら、からだはどう反応する?
もうこの先の説明の予想がつく読者もいらっしゃると思いますが、薬で血糖値が下がると、からだはその変化に対応して、元に戻そうとはたらき始めます。それは生命を安全に保とうとするはたらき(恒常性)であり、自然な反応です。
糖尿病と診断され、「血糖降下剤」を服用する
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薬の作用で血糖値が下がる
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脳が血糖値低下を認識。脳が死ぬ危険を感じ、血糖値を上げようとする
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食欲が湧いてしまい食べる。出せないインスリンを出す
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インスリン枯渇、インスリン効かず、血糖値が上がる
糖尿病になった最初の原因は「食べすぎ」なのに、その薬は「食べすぎ」を招き、悪循環へ入る可能性があるわけです。薬で一時的に血糖値が下がっても、また上がる負の連鎖を起こす。「生活習慣病」としながら、「おかしいやん!」と突っ込みたくなりますね。
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