ひざ痛の治療が糖尿病も治してしまう納得の理由 患者が向き合わなければならない「本当の原因」

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変形性膝関節症の患者さんの約3分の1に「食べすぎによる体重超過→ひざの悪化」がみられます(西洋では7割くらいの患者さんが、体重過多が原因でした)。そしてそのさらに約半分の方は糖尿病の診断を受け、薬で治療をされています。

でも、保存療法によって体重が減ると、ほとんどの人が、ひざ痛と糖尿病の両方とも治ります。湘南鎌倉総合病院にいた15年間で、僕の患者さんで糖尿病が治り、薬がいらなくなった人は117人いました。この117名はなんと全員「糖尿病は治らない」と思って薬を飲み続けていた方々です。

ひざ痛と糖尿病は原因が共通(食べすぎ・急な体重増加)しているので、原因に対処する「保存療法」の末の、理にかなった結果です。しかし、ひざ痛がなかったら、おそらく糖尿病は治せていなかったでしょう。というのも、糖尿病の薬物治療は「対症療法」だからです。

経口血糖降下剤で糖尿病は治らない

糖尿病にはⅠ型とⅡ型があります。Ⅰ型糖尿病はインスリンをつくる遺伝子がもともとない人たちか、免疫異常によってインスリンをつくる膵臓β細胞が攻撃され、インスリンが分泌できない人です。

このⅠ型糖尿病は若くして発症しますが、全体の1〜2%です。残り98%はⅡ型糖尿病です。その原因は食べすぎで、インスリンをつくるのに疲れたり、インスリンがいつも出すぎて、それを受け取る細胞がインスリンを感受できなくなって起こります。

つまり原因は、β細胞が疲れてインスリンがつくれないか、たくさんつくり過ぎて飽和して機能していない状態です。この急激に増えている「Ⅱ型糖尿病」は、食べすぎによって起こっています。そのため糖尿病は「生活習慣病」のひとつとされます。

インスリンは血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む仕事をしています。このはたらきがなくなると、血液中にブドウ糖はあふれているのに、細胞はそれを使えません。細胞はエネルギー源のブドウ糖が入ってこないため、エネルギー不足になります。

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