問題の発生源は「不安定な血糖値」
「なんでこんなことに……しかも、どうしていまなんでしょう?」
ビルは、どうしていいかわからない、という感じだった。
最初のセッションで聞いた話では、彼は最近、医師から前糖尿病段階だと診断され、処方薬を飲んで血糖値をコントロールしたほうがいいと言われたという。でないと、2型糖尿病への道をまっしぐらだというのだ。
60代半ばのビルは、初孫ができたばかりだ。「この先、孫娘と楽しいことをいっぱいしたいんです。でもこのままだと、私の人生は衰えていく一方かと不安で……」
これに加えて、ビルにはさらに不安材料があった。父親も人生の晩年になってから2型糖尿病になり、心臓病で亡くなったのだ(2型糖尿病になると、心疾患を発症するリスクが非常に高くなる)。
ビルはもちろん父親のようにはなりたくなかったが、医師に処方された薬を飲むべきかどうかについても確信がもてなかった。
また、前糖尿病段階という診断がビルにとって最大の問題なのは確かだったが、ほかにも心配な症状がいくつもあった。それで彼は私のもとを訪ねてきたのだ。
「食事のあと、とても疲れて……横にならずにはいられないんです。1日中、エネルギッシュな状態と、眠くてしかたない状態を行ったり来たりしている感じです」
私にはビルの気持ちがよくわかった。何かの病気だと診断されたり、なんの病気なのかわからないとさじを投げられたりしたら、誰だって怖くなる。それに、疲労などの症状がなぜ起きているのか、その理由がわからないときも不安になる。
だがビルの場合、問題の発生源は明らかだった。「不安定な血糖値」だ。