「糖尿病で失明」知るとゾッとする合併症の正体 世界的眼科医が「薬物治療主体」に異論唱える訳

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日本の失明原因の第2位は、糖尿病性網膜症といわれています(写真:りょーま/PIXTA)
日本は世界最長寿の国となり、人生100年時代を迎えています。ところが「目の寿命」ははるかに短く60〜70年ほど。十分な準備をしておかないと人生の後半に目の病気や視力障害で生活に支障をきたしてしまうかもしれません。世界中から治療を求めて患者の絶えない眼科専門医が世界基準の目の守り方を記した『100年視力』から一部抜粋、再構成してお届けします。

早めの手術で治せる! 糖質制限食も取り入れて

日本の失明原因の第2位が糖尿病性網膜症です。

最近の統計では症状の軽い人も入れると、日本人総人口1億2000万人の6分の1にあたる2000万人が糖尿病だそうです。飽食の近年、糖尿病患者数はとくに増加してきています。ですから現代病とも、国民病とも言えます。

糖尿病は遺伝素因が関係しますが、遺伝に加えて、過大な糖質摂取による「糖化」が糖尿病発現の原因です。

簡単に言えば、ご飯やパン、麺の食べすぎですね。また、トウモロコシからつくった甘味料である「異性化糖」「ブドウ糖果糖液糖」なども多くの甘い飲み物や食べ物に含まれています。人工的につくった果糖ですので、砂糖よりはるかに血糖値を上げやすく糖尿病が悪化します。子ども時代にこの異性化糖という甘味料に慣れてしまうと、依存性ができて、悪い食習慣から抜けられなくなり、早くから糖尿病になります。

糖尿病の患者さんは、糖化で白内障になりやすいだけでなく、「血管系の閉塞や出血」が起きやすくなります。それが「糖尿病性網膜症」の姿です。

糖尿病の名前の由来であるものの、「尿に糖が出る現象」は大した問題ではありません。「糖尿病とは血管病」です。高血糖状態からインシュリン薬投与で、血糖値が急に下がるような、血糖値の急激な上下によって、血管が詰まったり、血管が破れて出血したりします。

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