「糖尿病で失明」知るとゾッとする合併症の正体 世界的眼科医が「薬物治療主体」に異論唱える訳

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血管を直接見ると、血管壁が硬くなっているとか、もろくなっているなどもよくわかります。赤血球もよく見え、血流の異常があれば、それも直接流れを見ることでわかります。目の中の血管を見ていると、その患者さんの全身の血管の様子もかなり推察できるということです。

糖尿病は薬ではなく「食べ物」による治療を

糖尿病は自覚症状が乏しく、自覚があったとしても生活にまぎれてしまうことが多い病気です。

「のどが乾く」「だるい」「トイレの回数が多い」など、代表的な自覚症状を季節や年齢のせいだと思う人も多いためです。

そこで、重症の糖尿病が眼科で見つかることはまれではありません。以前はそのような患者さんには目の治療をしながら、内科も受診するよう勧めていましたが、それも問題が多数生じ、その後は行っていません。

というのも、内科の医師は糖尿病の診断をすると、「血糖値」だけを見て、血糖値を下げる治療を熱心にします。しかし、血管が詰まったり、裂けたりするのは、血糖値が上昇するときだけではなくて、薬物治療によって急激に下がるときも同じなのです。そのため内科治療が始まると、早い時期に目の症状が悪化してしまう患者さんが多くいました。

眼科外科医の私は血管から目の病気と糖尿病を見ていて、目や、全身の血管などの組織を守ろうと考えます。

内科の医師は血糖値のデータを見ているばかりで、血管は診察していません。「血糖値はできるだけ上下動を少なくして、ゆっくり改善して」と頼んでも聞いてはもらえず、網膜症の悪化が多く起こったのでした。

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