私たちは「流産リスク」にこう向き合った! 周囲に早く言うべき、でもなかなか言えない

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そもそも、均等法以前は寿退社という世界で、「職場」にとって妊婦はまだまだ異質な存在。ましてや流産しましたという報告はしづらいし、周囲もなんと声をかけていいかわからなくなってしまうというのもわかります。

リスクとともに説明するという方法も

ただ、一定の確率で起こることについて、「はれものを触るように扱われるから言わない」という行動をとっていると、いつまで経ってもそのように扱われるという面も。

もちろん受け止め方やダメージは人によって異なるので、みんながリスクを承知で早めに言うべきと言うつもりはありませんが、妊娠判明時にリスクとともに説明する、というのもひとつの方法となりそうです。

・第1子第2子ともに、妊娠発覚直後に直属上司には伝えました。このとき、持っていた私の仕事には代わりがおらず、万が一の場合、数日休む可能性があるので、フォローできる態勢を早急に作ってほしいというのもありました。妊娠についての知識がなさそうな方には、1割以上の確率で流産のリスクがある時期だということを含めて、伝えておきました。
・第1子のときも第2子のときも、直属の上司には妊娠が確定してすぐ報告しました。もし流産した場合もまったく変わらないパフォーマンスが出せるかというと、たぶんそうはできないと思ったので、仕事で直接かかわる人には言っておくという気持ちでした。このくらいの確率でダメになることがある、という説明つきで。
第1子のときはつわりは普通でしたが、第2子のときは40日以上、吐く日が続きたいへんつらかったのと、それでもなんとなく出勤を続けてしまったので、傷病休暇を使うべきだったと今は思っています。そういう不確定要因もあるので、安定期まで黙っている選択肢は不都合かなぁと思います。
・「妊娠=幸せ」が一般的な考え方だから、みんなに知らせてしまった後で流産となった場合は、ちょっとお互いに気まずくなるでしょうね。流産となった場合でも、体には一定の負担はかかっているので、精神的ダメージもあるし、流産の確率が一定の割合であることを考慮しても、仕事に関係のある人には伝えたほうがいいと思います。

 

やはり気を遣いながら必要最低限の人にだけ報告するというのが無難な選択肢でしょうか。今、各界で活躍する女性役員などのインタビューでは妊娠後期まで周囲に言わずに働き続けたというような涙ぐましいエピソードが語られることもありますが、それはその時代の、そうせざるをえなかった人たちの話。今はもう少し、丁寧なコミュニケーションをとることのほうが有効なようです。

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