私たちは「流産リスク」にこう向き合った! 周囲に早く言うべき、でもなかなか言えない

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安定期を過ぎても、無理をしすぎて妊娠後期に切迫早産で3カ月入院というケースもよくあり、逆に仕事を急に休むことは仕事に支障をきたします。

上司目線からのコメントとして次のような意見も。

・上司の立場から言うと、自分の直属の部下が妊娠した場合は、“As early as possible”で相談してもらいたいと思います。やはり、心拍確認までが流産リスクがいちばん高いわけですが、それをコントロールし、わかってあげられるのは上司ですし、仮に流産してしまったとき、心のフォローをしたりするのも上司です。また、昨今はマタハラなども社会的に問題になっており、上司として部下のマタニティを考えることは必須になってきていると思います。上司もいろんなタイプがいるかとは思いますが、直属の上司にだけは、早く言ったほうがいいかなと思いました。
・産・育休を取る間の残された側のことを考えると、やはり一刻も早く言ったほうがよくはないでしょうか? 私個人は自分の休み中の代打の人材の手配も必要でしたし、半年後、1年後の仕事依頼や人手不足ではできない仕事を引き受けるかどうかにもかかわってきたので、報告を待つという選択肢はありませんでした。同僚の休暇申請も半年前くらいからされているので、こちらの報告が遅れると、同僚のプライベートにも迷惑をかけてしまうということもありました。

 出産後も安心して職場に戻れるように

今回、主に採り上げた初期の流産リスクだけではなく、安定期に入った後もさまざまなリスクがあり「妊娠に安定期はない」という意見もありました。

妊娠後も働き続ける女性が増える中、上司や職場も、もはや「プライベートなこと」と脇に押しやってばかりはいられない環境です。妊娠にまつわるさまざまなリスクや体調悪化が広く知られるようになり、母体や胎児に無理がかかり、危険が及ぶことがないようになることを願います。

そして妊婦側も、仕事が円滑に回り、出産後も安心して戻って来られるように、上司や同僚とのコミュニケーションは大事にしていきたいところ。まだまだ「妊婦取り扱い初心者」が多い環境では、辛抱強く状態を伝えていくことが必要なのかもしれません。

この記事を妊婦の部下を持つ管理職の方などが読んでくださり、妊娠リスクに対する社会的認知の一助になればと思います。
 

東大ママ門 東大卒ママの同窓組織

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とうだいままもん / Todai mamamon

団体概要:2011年のホームカミングデ-をきっかけに発足した東大卒業生の同窓組織。現在、0歳~小学生の子を持つ層を中心に、20~40代の東大卒のママ(一部プレママ)160人が登録。「子育てをしながら働き続けるつもりだが、会社内にはまだロールモデルがいない」「子どもの教育観について、近所のママ友にはどこまで打ち明けていいかわからない」などの悩みを、同じ大学出身という共通基盤の下にFacebookのグループページ(非公開)で共有したり、オフ会、勉強会などで情報交換している。立ち上げの経緯はこちら(リンク)。

立ち上げ人:中野円佳:2007年、東京大学教育学部卒。『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)著者。同著では制度が整ってからも総合職女性が活躍しづらい社会構造を指摘。東大ママ門や本連載と直接関連はないものの、高学歴女性の抱えるジレンマについて触れている。

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