原子力発電を行う国々にとっては、カザフスタンのウラン鉱を安定輸入することは極めて重要で、日本はじめ各国はウラン鉱山開発と輸入を組み合わせた開発輸入を進めている。
一方、ソ連時代に、セメイ(旧名セミパラティンスク)に置かれた核実験場の核汚染問題、バイコヌールに置かれた宇宙船発射基地の汚染水問題に加え、近年はウラン鉱開発による地下水汚染・健康被害が問題になっている。
ウズベキスタン共和国はどんな国か
ウズベキスタンは、北をカザフスタン、東をキルギスとタジキスタン、南をアフガニスタン、西をトルクメニスタンに接する。
多くの国名に「スタン」がつくが、かつてこれら地域に影響力をもったペルシアの言葉で「土地」を意味している。面積は45万キロ平方メートルと隣国カザフスタンの6分の1であるが、人口は約3400万人と中央アジアで最も多い。旧ソ連を構成した国でも、ロシア、ウクライナに次ぐ3位である。
トルコ系のウズベク人が約8割で、それにタジク人、カザフ人、ロシア人などが加わる。公用語はウズベク語で、宗教ではスンナ派を主とするイスラムが約8割である。
国土は東西に細長く、1000キロメートル以上に広がる。東部はテンシャン山脈につながる山岳地帯で、西に向かって高度が急激に下がり、最後は標高0メートルに近いトゥラン低地となる。
山岳地帯からは、雪解け水を湛えたシルダリア川・アムダリア川(ダリアはトルコ語で「川」の意味)が流れ出し、トゥラン低地のアラル海へ最後は注いできた。しかし、大陸の内陸で降水量が少ないため、国土の大半が乾燥地で、川沿い以外の中央部から西部には砂漠が広がっている。
そこで、交易路沿いのオアシスを除けば、気温が低く水が入手しやすい東部の山岳・高原地域に古くから多くの人々が住んできた。首都のタシケントは、国の東端に位置し、標高488メートル、年降水量455ミリと湿潤で緑におおわれている。
◎石油、天然ガス、ウラン……地下資源大国
湿潤な温帯気候である東部の山岳・高原地帯では、さまざまな野菜やブドウをはじめとした果樹の栽培が古くから盛んである。また、水が得られるシルダリア川・アムダリア川沿いの限られた場所でも、晴天が多い乾燥気候を活かした綿花栽培などが行われ、その他の乾燥地域では羊などの牧畜業が行われてきた。
カザフスタン同様、19世紀のロシア帝国支配、1930年代のソ連の構成国を経て、1991年にウズベキスタン共和国として独立した。
ソ連時代には、川の水を乾燥地域に流し込む農業開発が大規模に行われ、ウズベキスタンは世界有数の綿花生産国になっている(2019年で世界7位)。一方、ウラン鉱の産出が世界5位(2021年)をはじめ、原油・天然ガスの埋蔵量も多い地下資源大国でもある。
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