このように東西方向に連なる大山脈は、南から動いてきた地殻のインドプレートがユーラシアプレートに衝突したことに由来し、高い山脈・高原だけではなく、低い盆地もつくりだした。
たとえば、テンシャン山脈とクンルン山脈の間にあるタリム盆地周辺には海面下になるマイナス130メートルの凹地がある。北西部にあるカスピ海の水面標高も海面下のマイナス28メートルで、周辺のカスピ海沿岸低地も海面下である。
東西に連なる大山脈は、南のインド洋から運ばれるはずの水蒸気を遮る。中央アジアはユーラシア大陸の中央部で、海から離れた場所であるため、雨が少なく気温の差が大きい内陸性気候であるが、山脈の影響が重なり、さらに乾燥することになる。
標高が高い山脈では、気温が低いために雪が降り氷河も存在するが、標高が下がると気温が上がり雨もほとんど降らないため乾燥し、樹木が生えない草原(ステップ)、さらには砂漠が広がる。
水が得られるのは、まずは山脈の山麓であるため、多くの都市も標高の高い地点に存在する。農耕も、山麓あるいは山脈から流れ出す大河川の周辺や地下水が湧き出すオアシスに限られる。
ユネスコによる中央アジアの範囲は自然環境を指標としているためこのように広いが、一方、国家を単位に中央アジアの範囲を設定することが便利な場合も多く、本記事もその立場をとっている。この場合には、パミール高原と周辺の山々以西が中央アジアとなる。
国家を単位とした場合、カザフスタン共和国、ウズベキスタン共和国、トルクメニスタン、キルギス共和国、タジキスタン共和国の5カ国を指すことが一般的である。これら5カ国は、1991年に崩壊したソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)を構成した共和国である。
ソ連時代には、ロシア語が事実上の公用語として使用され、ロシア人が大量に移動してきた。そこで現在でも、中央アジア各国では各民族語に加えロシア語が広く話されるとともに、ロシア人の構成比も高い。
1991年にロシアを中心に結成されたCIS(独立国家共同体)にも参加しており、ロシアとの関係は続いているが、結束は強くはない。
カザフスタン共和国はどんな国か
カザフスタンは、東西約3000キロメートル、南北約1500キロメートルで、その面積は日本の7倍以上、世界9位である。東は中国に接し、テンシャン山脈から続く山岳地帯やカザフ高原が南東部にある。
地形は、北西に向かって低下し、北西端にある世界最大の湖カスピ海沿岸低地は海面下である。海に面していないこの国の多くの川は、カスピ海など低い窪地に流れ込み、海に注ぐことのない内陸河川である。
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