エヌビディア「AI用チップ」で圧勝するまでの軌跡 単なるチップ以上の価値を生み出している
トレードマークの黒い革ジャンで知られる60歳のフアンCEOは、このムーブメントで最もよく知られた顔の1人となるまで、何年もAIについて語り続けてきた。彼は、60年前にIBMがほとんどのシステムとソフトウェアの動作方法を定義して以来、コンピューティングは最大の転換期を迎えていると公言している。
現在、GPUやその他の特殊用途向けチップが標準的なマイクロプロセッサーに、AIチャットボットが複雑なソフトウェアコーディングに取って代わりつつあると同氏は言う。
「私たちが理解したのは、これはコンピューティングのあり方の再発明だということだ」とフアンCEOはインタビューに語っている。「そして私たちは、プロセッサーから最終製品に至るまで、すべてを一から作り上げた」。
一度に多くの単純なタスクを実行することに特化
フアンCEOは1993年、ビデオゲームの画像をレンダリングするチップを作るためにエヌビディアの創業に携わった。標準的なマイクロプロセッサーが複雑な計算を逐次実行することを得意とするのに対し、同社のGPUは一度に多くの単純なタスクを実行する。
2006年にフアンCEOはこれをさらに推し進めた。CUDAというソフトウェア技術を発表したのだ。これは新たな作業のためにGPUをプログラムすることを支援するもので、GPUを単一目的のチップから物理学や化学のシミュレーションなどの分野で異なる役割を担うことができる汎用のチップへと変えるものだった。
2012年に大きな革新が訪れた。研究者たちがGPUを用いて画像内の猫を認識するといった作業で人間並みの正確さを達成したのだ。これはテキストのプロンプトから画像を生成するといった最近の製品の先駆けとなった。
エヌビディアの対応は「この新たな分野を推進するために我が社のあらゆる側面を」転換するというものだったと、フアンCEOは先ごろ国立台湾大学の卒業式でのスピーチで語っている。