エヌビディア「AI用チップ」で圧勝するまでの軌跡 単なるチップ以上の価値を生み出している

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エヌビディアのは10年以上にわたって、画像や顔、会話の認識などの複雑なAI作業の実行や、ChatGPTなどのチャットボット用のテキストの生成が可能なチップを製造することにおいて、ほぼ揺るぎない地位を築き上げてきた。

かつての業界の新参者が優位に立つことができたのは、AIの流行を早期に認識し、自社チップをAI作業に適したものにし、それからAI開発を助ける重要なソフトウェアを開発したからだ。

AI開発のための「ワンストップショップ」に

エヌビディアの共同創業者でCEOのジェンスン・フアンはずっと水準を引き上げ続けてきた。自社の優位を維持するために、エヌビディアは顧客に対して彼らの新たな商売のための専用コンピューターや、コンピューティングサービスなどのツールへのアクセスも提供してきた。その結果、同社は実質上AI開発のためのワンストップショップとなったわけだ。

グーグル、アマゾン、メタ、IBMなどのテック企業もAIチップを製造しているものの、調査会社のオミディアによると、エヌビディアは、今日ではAIチップ市場シェアの70%以上を占めており、生成AIモデルの学習に関してはさらに大きな地位を占めている。

5月には直近4半期の収益が64%飛躍するとの見通しを示したことで、AI革命における最大の成功者としての同社の地位が明白となった。これはウォール街の予想をはるかに上回る数字だった。

時価総額が1兆ドルを超えて急騰し、世界で最も価値の高いチップメーカーとなったエヌビディアは、8月23日には記録的な業績によって、AIチップの需要が凄まじく増えていることを示すことになるだろう。

「顧客はスタートアップであろうと他の競合他社の製品であろうと、今入手できる既製品のチップを買うよりもむしろ18カ月待ってエヌビディアのシステムを買うほうを選ぶだろう」とフューチャラム・グループのアナリスト、ダニエル・ニューマン氏は語る。「信じられないことだ」。

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