外資企業におけるトラブル解決のキーマンは誰か?--グローバル時代の企業法務

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宮野氏自身も日本で弁護士登録(第一東京弁護士会)して法律事務所に入所した後、アメリカのハーバード・ロースクール法学修士課程を修了(LL.M.)、サンフランシスコの企業やニューヨークの法律事務所に勤務した経験がある。

欧州の化学関連企業の日本法人の取締役人事部長を務めた小菅伸浩氏(現在はアメリカのバイオチップ開発ベンチャー企業の日本法人代表)は、「ローカル(日本法人)で発生した労務や取引上の案件については、あくまでローカル(日本の法律事務所)に委ねるというのが基本姿勢です。最近は日本の法律事務所にも海外で経験を積んだ弁護士も増えていますので、仮に本社(外国の親会社)のリーガル部門に対して確認しなければならないことがあったとしても、意思の疎通は十分に可能です」と言う。

前出のラングレー氏が在籍した企業の場合、アメリカ本社から解雇された日本法人のアメリカ人社長がなぜか日本法人を訴えた。訴えられたのは日本法人であっても、実は解雇されたアメリカ人社長と親会社(アメリカ本社)の株主との間の争いとなる。ラングレー氏はアメリカ本社のコーポレート・ロイヤー(企業法務を担う弁護士)や契約関係のアメリカの法律事務所と歩調を合わせ、問題解決にあたったという。

日本と欧米は法律や制度の違いはあるものの、正当な手続きに基づいて交渉が進められる。しかし、最近はM&A(合併・買収)による中国企業の日本上陸が増え、欧米とは異なる思考や行動をとりがちな中国企業と対峙しなければならないケースも出てきている。

日本を舞台にした企業法務のグローバル対応も、従来の対欧米中心から対中国へと新たな段階に入ったといえるのかもしれない。今後は中国系企業でトラブルを処理できる人材が求められる。

(注1:その後、外国法事務弁護士という制度もできたが、日本国内での民事・刑事訴訟などは職務として行うことはできない。注2:現在は受験できるようになった)

(アジアにじゅういち代表取締役・白水和憲 =東洋経済HRオンライン)

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