大学を出てからの河江さんは海外の国際調査チームに所属しながら、日本の研究機関とも組んで、物体の形状をデータとして取得する三次元計測を使ったさまざまな調査を行いました。
2009年には、日本に帰国して名古屋大学大学院の博士課程に入学。ピラミッドの構造や建築について三次元計測を用いた博士論文を書き、歴史学の博士号を取得しました。
2018年には名古屋大学の高等研究院准教授にも就任し、調査を続けながらTBS『世界ふしぎ発見!』や日本テレビ『世界一受けたい授業』などの各種メディアにも出演。2021年にはYouTubeチャンネル「河江肖剰の古代エジプト」も開設し、現在もエジプト文明についての知見を精力的に広めています。
ガイドの仕事がいまに生きている
過去から現在までの経験はすべてつながっている。最後に、河江さんはその実感をしみじみとこう語りました。
「自分が勉強することや勉強に向いているのかを悩んでいた時期に、遺跡を回っていたことや、人に説明していた経験が、いまとても役に立っています。
大学の授業で『カルナック神殿の第三塔門』と出てきたら、実際に遺跡に行った経験のおかげで現地の情景が浮かんでくるようになり、とても学びが深まりました。
いまでも自分がYouTubeやメディアに出演させていただくとき、ガイドの仕事で身につけた人に物事を伝える感覚がとても生きていると思います。あのときガイドの仕事をやっていたことは、今の私にとって何一つ無駄になっていないと思います」
かつて目的意識がないまま大学受験に臨んだ河江さん。さまざまな葛藤を経た現在の活躍には、今までの学びがたしかに生きているのだと思いました。
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