「『毎日道場に来てるやつが何で大学に行くんだ?』って言ってくださったんです。そこで『古代エジプトに興味があるのでそういう勉強をしたい』と先生に話したところ、『実際に行ってみたらいいんじゃないか』と背中を押してくださいました。それで私は、アルバイトでお金を貯めてエジプトまで行く決断をしたのです。予備校に通おうか迷っていたのですが、いま自分が興味がある勉強をすぐにしたいと思えたので、通うのをやめる決断ができました」
こうして両親の理解も得た河江さんは、花屋のアルバイトでお金を貯めつつ、月1~2回大阪の吹田まで通ってアラビア語を勉強する日々を送りました。
「まったく未知の世界を知ることができるという興味もあったのですが、そのまま日本で浪人をするより、海外に行くことがかっこいいと思っていたんです。
(自分自身の)プライドもありましたね。アルバイトでお金を貯めている時期、知らないおっちゃんに話しかけられて、海外に行こうとしてお金を貯めていることを伝えたら、『そういうの流行ってるよね』と見下されたような反応をされてムッとしたんです。そう言われたくなかったんで、何としても頑張ろうと思いました」
こうして翌年の2月、19歳の河江さんはついに貯めたお金を手に単身エジプトに渡ります。この時点では、大学に入ることはいったん白紙になっていました。
遺跡のガイドの仕事を始める
エジプトに着いて間もないころの河江さんは、博物館や遺跡に行く日々を過ごしていました。しばらくして、生計を立てるために遺跡のガイドの仕事をしようと考えます。
「仕事を探すため、日本と関わりのある方を探しました。飲食店で会った日本食の店のオーナーの方にご飯を食べさせてもらったり、そこで駐在の方にアラビア語を使って家を探す方法を教えてもらったりしました。さまざまな方にお世話になり、紹介をしていただく中で『バヒ・トラベルエージェンシー』を紹介してもらい、そこで仕事をさせてもらえることになりました」
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