こうして、26歳で大学に入った河江さん。仕事をしながらの受験勉強はとても大変だったと思うかもしれませんが、河江さん曰く「がんばった意識はない」そうです。
「私は社会人になって、働かざるをえない状況にありました。だから『受験勉強をがんばった』という感じではありません。遺跡を見たり触れたりといった好きなことをしながら、もっとこの分野のことをちゃんと知りたいという思いを育てていたんです。
どっぷりエジプトの遺跡の中に浸かって、自分の体験がすごく増えていったので、勉強をしたいという思いにつながったということなんですね。例えば、宇宙に興味がある人が宇宙のことをもっと知りたいから、NASAのアルバイトでずっと働いてたという感じです」
大学生活を支えてもらった
その思いを抱えて進学した4年間は専攻したエジプト学だけでなく、考古学などかつて学びたかった学問も熱心に学びました。そんな河江さんに再び受験してよかった理由を聞くと「勉強に対するコンプレックスが解消された」との答えが返ってきました。
「知りたいという欲求がありながらも、それが満たされていないという思いが強かったので、大学で勉強できて楽しかったです。大学に行く話をいただいてから、その選択について賛成した人が周囲にほとんどいなかったので悩んだ時期もありましたが、私の気持ちが入るまで辛抱強く待ってくださった中野夫妻には大変感謝しています」
年間1万ドルほどする大学生活の学費を中野夫妻に奨学金として出してもらったこともあって、日々感謝の気持ちを抱えながら勉強に励んだそうです。
大勢の人にお世話になっていることもエネルギーとなり、勉強に励んでいた河江さんの知的好奇心は大学内だけにはとどまりませんでした。
大学在学の4年間で、エジプトで活動するさまざまな国の調査隊を訪問し、助手としてチームに加わって武者修行をしました。飽くなき探究心をじっくり養い、2003年に卒業する際には、成績優秀者に送られる複数の賞を受賞するまでになりました。
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