広告収入重視の「X」は長続きしないかもしれない 専門家も驚く「信頼」で進化する中国SNSの凄み

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尾原:美容整形は、クリニック側が出す広告への信用度が低く、「広告のコストパフォーマンスが最も低いジャンル」の1つといわれています。それに対して、ユーザー同士の口コミによって信用を担保する仕組みですね。

それにしても、自分の身を削ってまで美容整形の体験を投稿する人なんているのかな、と思いきや、けっこういるんですね。

成嶋:実はここにもインセンティブが発生していて、自分の日記にコメントがついたり、日記経由で申し込みが入るごとに8%前後の手数料が投稿したユーザーに入る仕組みになっています。そうすると、およそ12人成約すれば100万円かかった手術の元が取れ、場合によっては次の手術代まで確保できてしまう。

稼げるうえにみんなの役にも立てるとあって、多くのユーザーが施術の体験談や写真をソーヤングに掲載しています。

尾原:身を削っているからこそ、「痛いこともあったけど、結果いい施術だったよ」といった言葉にリアリティがこもり、「この人の言うことは嘘ではない」という信頼が生まれるのですね。

成嶋:インフルエンサーを自社で囲ってプロモーションを依頼するやり方でなく、そのコストをユーザーにインセンティブの形で還元しながら、信頼性の高い口コミを増やしていくという設計が巧妙です。

Xとは正反対の道を行く中国発のSNS

成嶋:この「レッド」や「ソーヤング」などの事例を観察すると、X(旧Twitter)やFacebookに代表されるアメリカ発のSNSの広がり方と、中国でのそれとの対比が見て取れます。

アメリカ発のSNSは、共感などのポジティブを共有していく「いいね!文化圏」。ポジティブな情報やスキャンダルなどの情報は広がりやすいけど、消費者の不安を代弁するようなネガティブな情報はそもそも投稿しにくい性質があります。

一方、中国発のSNSでは、インフルエンサーが身を削ってでもネガティブな情報を発信し、不安を払拭しようと努めている。そこには、大きく2つの動機があります。一つは、手数料という明確なインセンティブがあること。もう一つは、嘘のない有益な情報を発信することで、そのインフルエンサーの信用が高まることです。

尾原:言い換えると「アテンションエコノミー」と「インテンションエコノミー」の対比ともいえますね。

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