転機になる出来事があった。
「ある日、バイト先に行く電車賃の一区間分の120円も払えずに、1時間かけてバイト先まで歩いていきました。そしたら、バイト先の事務所の机の上に、誰のお金かわからない2千円が置いてあったんですよ。それを見て『このお金があれば』って思っちゃったんですね。思った瞬間、やばいとわれに返りました。下手したら犯罪者になりかねないような精神状態になっていて、もうこの生活を辞めよう、借金を完済しようと決意しました」
役者もビジネスも辞め「借金を一年で完済する」と決めて、アルバイトを掛け持ちして休まず働いた。当時は実家を出て、バイト先の近くにあるシェアハウスで暮らしており、家賃は水道光熱費込みで3万円。6畳に2段ベットが3つあるような、寝るためだけの部屋だった。
「それからは、アルバイト代が入ったらすぐおろして、消費者金融のATMに行き入れていました。強い意志を持って1年間で完済しました」
借金返済が終わった27歳、当時付き合っていた現在の夫と結婚して、翌年28歳で長男が生まれる。
しかし、貯金はなかなかできなかったし、長男が生後3カ月になる頃には、貯蓄がゼロになってしまった。
“小手先の節約テクニック”では貯金につながらなかった
「借金を返し終わったことで満足してしまい、今度は『借金をしなければ大丈夫』という意識でした。今思えば不思議な思考回路ですが……、夫の収入は当時手取り30万くらいで、毎月ほぼ全部使い切っていました。児童手当もボーナス感覚で使っていました」
しかし、貯金なし生活には思わぬ落とし穴があった。当時の夫の会社は、住民税と年金が給与天引きではなく自己支払いだったことを理解していなかった。これはある日、赤文字で「特別催告状」と書かれた封筒が届いたことで発覚した。
「びっくりして、恐れおののきました。ちょうど長男が生後3カ月の時で、貯金はできていない生活でしたが出産祝いなどで60万円くらいはあったんですよ。すぐ支払いに充てて、完全に貯金ゼロになりました」
ここから節約貯金しよう、という明確な意識がなごみーさんに芽生える。けれど、すぐにうまくいったわけではなかった。最初の頃は、小手先の節約テクニックを雑誌や本で学んでは実践してみたが、あまり効果が出なかったという。
「電気をこまめに消す、水道の元栓を絞って使う、などの細かい節約ばかりやっていました。あとは食費です。一生懸命頑張っても、手間もかかるわりに、節約できた金額としては少なかったです」
翌年には次男の出産もあったことから、貯金を決意してから2年間はなかなかうまく貯まらない状態が続いた。
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